クレーマーの怒りを「鎮火」させる意外な一言 企業の謝罪文から気持ちが伝わらない理由とは
おもちゃの取り合いをして、兄が弟を泣かしてしまいました。そこにお母さんがやってきます。
兄 「ごめんなさい」(たんなる謝罪)
母 「何でごめんなさいなの?」
兄 「けんちゃん(弟)のおもちゃを取って泣かしたこと。ごめんなさい」(出来事の謝罪)
母 「どうして、そんなことしたの?」
兄 「おもちゃを一緒に仲よく使う約束を、僕が守らなかったから。ごめんなさい」(原因の謝罪)
兄 「それから」
母 「それから、どうしたの?」
兄 「お母さんは、僕を叱る時、いやな気持ちになったよね。
いやな気持ちにさせて、ごめんなさい」(相手の心に対する謝罪)
母 「お母さんにお約束は?」
兄 「これからは、けんちゃんと仲よく遊ぶね」(未来の約束)
ポイントは、「相手の心に対する謝罪」です。ここに気づくお子さんなら、お母さんも、抱きしめたくなることでしょう。
ビジネスの場でいうと、例えば、手違いで、あるお客様に別のお客様への郵便物を送ってしまった時。その手違いが起こってしまったこと、その原因についてお詫びをするのに加えて、さらに「お客様は、何を感じただろう?」と考えてみてください。
他人に送られるべき郵送物が届いたら、「この会社、同じミスをしているのかな」「私の情報も漏れているのかな」と考えるかもしれません。
「私どものミスで、お客様が不快な思いをされたこと、さらに、私どもへの信頼を大きく裏切ってしまったことを深く反省いたします」
これが、「相手の気持ち」に対する謝罪です。これがあるかないかで、お客様の受ける印象が大きく変わるのです。
意外な「ありがとう」の用法
② 「クレーム」に関する敬語の使い方
ここでは、普通、使わないだろうという場面で「ありがとうございます」を使う効果について説明します。その場面とは、クレームを受けた時です。あなたが、クレームをいただいたお客様を直接、訪問してお詫びする、という例で考えてみましょう。
あなた 「○○様、このたびは、申し訳ありませんでした。そして、ありがとうございます」
お客様 「え? ありがとうって、どういうこと?」
あなた 「○○様からのお叱りは、私どもにとって、貴重な情報です。私どもの業務改善に生かしてまいります。ありがとうございます」
クレーム、イコール苦情ととらえず、私どもによかれと思って言ってくださった貴重な情報ととらえるのです。そうすれば、ふりあげようと思っていたこぶしをおろしてくれるかもしれません。そうでなくても、怒りの気持ちがいくぶん和らぐことは間違いありません。
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