朝ドラ「ちむどんどん」の出足が暗黒だった理由 「マッサン」「パッチギ!」の延長としての朝ドラ

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そして、羽原大介の資質が遺憾なく発揮されたのは、何といっても映画『パッチギ!』(2005年)の脚本だろう(井筒和幸との共同執筆)。1960年代の京都を舞台として、日本人と在日コリアンの対立を描いたこの映画で、コリアン役の女性が、日本人の高校生(塩谷瞬)に浴びせるセリフは壮絶だった。

――「生駒トンネル、誰が掘ったか知ってるか? 国会議事堂の大理石、どっから持ってきて誰が積み上げたか知ってるか?」

この圧倒的な2つのセリフに共通するのは、「国籍・民族の隔たりは、そう簡単には埋め合わせることができない」という一種の諦観である。そして、その諦観こそが強烈なリアリティを醸し出す。

『パッチギ!』『マッサン』に続いて羽原大介は、今回の朝ドラにおいて、「アメリカ、日本(ヤマトンチュ)、中国との関係性の中での沖縄史」を、リアルに描き出すことができるだろうか。その筆に期待したい。

沖縄本土復帰から50年、『島唄』から30年となる今年

沖縄を舞台とした歌にTHE BOOM『島唄』(1992年)がある。曲を作った宮沢和史によれば(朝日新聞/2005年8月22日)、この曲は全体的に沖縄音階で作ったものの、「♪ウージの森で あなたと出会い ウージの下で 千代にさよなら」という「ガマ(洞窟)の中で自決した2人を歌った部分」は、本土で使われている音階に戻したのだという。

なぜならば――「2人は本土の犠牲になったのだから」。ロシアがウクライナに攻め込んでいる情勢の中、胸に迫るのはこういうエピソードだ。

なお、沖縄本土復帰から50年、『島唄』から30年となる年に放送される『ちむどんどん』において、東京から沖縄に来た和彦の大人時代を演じるのは、宮沢和史の息子=宮沢氷魚である。

(文中敬称略)

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