上海「団地5000人を市外隔離」日本人の切実な声 封鎖生活1カ月、住民たちはSNSで抵抗を続ける

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封鎖生活に対処するため、4月初旬には住民有志がメッセージアプリ「WeChat」でグループを立ち上げ、400~500人が参加し、食料調達などの情報共有を始めた。その後、共産党管轄の「居住委員会」による正式なグループに移行した。

梨浜さんの団地のグループチャットは、居住委員会スタッフと各棟の代表者である「棟組長」、物資配給や食材配達の段取りを行う「生活委員」で構成される上位グループから、各棟の住民が参加する下位グループに向けて情報が伝達される。スマホを持っていない高齢者もいるため、PCR検査や配給の連絡は拡声器も併用されている。

市全域のロックダウンより前に、団地は封鎖されてしまった(写真:梨浜さん提供)

棟の住民は約50人ほど。これまでは階段でたまにすれ違う程度だったが、外出できなくなったことで梨浜さんは逆に「どんな人が住んでいるか初めてちゃんと知った」と言う。

住民たちはお互いに励まし合う

4月1日以降は自宅のドアの外にも出られなくなり、食料配給も十分ではなかったため、住民は疲弊し、ギスギスしたメッセージが飛び交うこともあった。

しかし棟組長や生活委員が「〇号室には双子の子どもがいるから、食材が余っている人は分けてあげて」と呼びかけたり、配給された食材でどんな料理を作ったかを共有し、次第にお互いの“顔”が見えるようになり、連帯感も増していったという。

共同購入を巡って喧嘩になったり、感染者が出ると犯人捜しが始まる小区や棟もあるが、「うちの棟は住民が少ないのもあってか、仲間意識が出てきた。4月18日には下の階の老夫婦が陽性になり(隔離施設に)移送されていったけど、本人がチャットで『行ってくる』とあいさつし、住民たちは『ゆっくり休んでね』『すぐ良くなるよ』と励ました」(梨浜さん)

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