医師が警鐘!「フォアグラ肝臓」生み出す3NG習慣 「脂肪肝」の真犯人は、脂肪ではなく「糖質」だ

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体によさそうと思われている、野菜ジュース、フルーツスムージー、スポーツドリンク、乳酸菌飲料、エナジードリンクには相当量の糖分が含まれています。

野菜不足だから、便秘がちだから、汗をかいたからなどという理由で、空腹時に糖分の多い飲料を飲んだりすれば、血液中に一瞬で糖が増え、これが続けば糖尿病にもなりかねません。脂肪肝の人の約半数が、糖尿病やその予備軍だと言われています。

だから、スマート外来では、飲料は、水、お茶、ブラックコーヒーに限定しています。共通点は、「無糖」であること。人工甘味料を使ったカロリーゼロ飲料も、その甘みに食欲を増進させる作用があり、過食になりやすいです。

果糖が肝臓の細胞にダメージを与える

もう1つ、加糖飲料をやめてもらう理由があります。砂糖は、果糖とブドウ糖からできていますが、このうちの果糖に、直接肝臓の細胞を傷害する作用があることがわかっています。  

果糖は、フルーツとしてそのまま食べて、食物繊維と一緒にゆっくり吸収されるようにすれば、小腸の酵素でブドウ糖に変わります。しかし、飲み物で一気に果糖を摂ると、酵素の働きが間に合わず、果糖のまま肝臓に向かっていき、肝臓はダメージを受けてしまうのです。

肝臓をいたわるには、加糖飲料は避けるべき。そもそも、日々の栄養を液体から摂るという考え方は改めたほうがよいのではないでしょうか。

そのほかに糖質の影響が大きいものが「主食」です。米やパン、麺などはすべて脂肪になりやすい精製糖質で、砂糖と同じと考えていいものです。1日3食、しっかり主食を食べているなら、肝臓に与えるダメージは絶大です。

『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA) 。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

肝臓をいたわる食べ方では、主食は半分で、おかずを増やした定食スタイルが定番コース。具体的には、ご飯は半膳で70g。パンなら菓子パンは避けて、食パン6枚切りを1枚(60g)。うどんなら半玉で120g。スパゲッティなら乾麺で35gになります。この量で主食の糖質量はだいたい25g。おかずと合わせて、1食の糖質量を40gに収めるのが基本ですが、あまり難しく考えすぎず、主食の量を守ることから始めてもらいます。

一方、主食を減らす分、野菜を十分に摂るようにします。1日で両手にこんもり350gが野菜摂取量の目安ですが、1日に5皿の小鉢を目標にするイメージでいいでしょう。食物繊維を1日に20g以上摂ることが推奨されていますので、海藻やきのこもこれに含まれます。

そして、野菜スープや野菜炒めは2皿分と数えます。食物繊維は、満腹感にもつながりますし、野菜を先に食べる「ベジファースト」にすると、食後血糖値の急上昇も防ぐことができて一石二鳥です。

尾形 哲 肝臓外科医

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おがた・さとし / Satoshi Ogata

長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。1995年神戸大学医学部医学科卒業、 2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。『肝臓から脂肪を落とす食事術』(KADOKAWA)は現在9刷。また、オーディブル版も発売中。

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