ロシアが戦争を強行してまで領土にこだわる事情 陸続きの周辺国に対してつねに疑心暗鬼の状態
ロシア軍がウクライナへの侵略を開始してから、早くも2カ月が経過した。いまだ解決の糸口が見つからないなか、私たちはどのような視点で世界と向き合っていけばいいのだろうか?
自分にこう問いかけたとき、必ずしも明確な答えにたどり着けるとは限らないかもしれない。それは私も同じだ。いま起きていることの輪郭はそれなりに見えているつもりだが、とはいえ世界のあり方、歴史問題の本質的な部分、今回の問題と大きく関係している国同士の駆け引きなどに関する本質を、しっかりと理解しているとは断言できない部分もあるからだ。
だからこそつねに学びなおしたいと思い続けているのだが、そういう意味でも『13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海』(田中孝幸著、東洋経済新報社)は役に立つ1冊だった。世界のパワーバランス、日本と世界との関係など、なかなか人には聞きにくい地政学の基礎をしっかりと確認できるからである。
高校生である兄の大樹と、杏という中学生の妹が、年齢不詳の「カイゾク」という人物との会話を通じて地政学を学んでいくという構成。基本的には中高生を対象にしたものなのだが、こういう時期だからこそなおさら、大人こそ読んでおきたい1冊だと個人的には感じた。
実際には会話を軸に話が進められていくので、ここではその内容をまとめてみることにしよう。焦点を当てたいのは、なにかと気になる「領土」についての問題である。
陸続きの国境はどうなっているのか
この項では「陸続きの国境」について、具体的には中国とロシアの問題が取り上げられている。杏の「中国とロシアの国境ってどうなってるの? 壁とかフェンスでずーっと区切られてるの?」という質問に対し、優等生タイプの大樹はこう答えている。
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