ロシアが戦争を強行してまで領土にこだわる事情 陸続きの周辺国に対してつねに疑心暗鬼の状態

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手に入れたところを守るために戦争をするということだ。だが、そういうところとの関係を改善するためにはどうしたらいいのだろうか?

「それはお互い信用する関係、つまり信頼関係を築くことだ。だが信頼関係を持ち続けることは案外難しい。例えば隣同士の国でちょっとでも戦いが起きて人が死ぬと、信頼関係はかなりのダメージを受ける。普通、国は攻められればそれに抵抗して、争いになるものだ。すると、攻めたほうは『やっぱりやつらは敵だったんだ』と思って、その争いはひどくなる。たとえ隣の国が、今のままの状態で平和を保とうとしていても、そういう記憶が人々の中に残っている限り、その後も争いが起きやすくなる」(99ページより)

中国もソ連も第二次世界大戦で侵略され、多くの死者を出したため、他の国をあまり信頼していない。そして当然のことながら、自分の安全は自分で守ろうとする。そのため、まわりの国とうまくやっていけない傾向がある。

また、こういう“外国に向かって強く出る国”は内部に大きな問題を抱えており、それは大陸にある陸続きの大きな国の、共通の問題でもあるとカイゾクは指摘する。

少数民族ってなに?

「ロシアと中国、この二つの国は、多くの民族を抱えている。ロシアは190、中国には56の民族がいると言われている。民族というのは、同じ言葉を話し、同じ習慣や宗教、歴史を持っている人たちの集まりだ」(100ページより)

言葉や文化が違う人も、同じ国に住んでいるということ。世界には、自分の国を持っている民族と、そうでない民族がいる。どちらかといえば独自の国を持っていない民族のほうが多く存在しており、つまりはそれが少数民族だ。

そして、そういう少数民族のなかには、「将来は自分の国を持ち、いまいる国から離れたい」と考えている人々もいるわけである。なお、ここでカイゾクは、兄妹に質問を投げかけている。

「君たちのご両親はどんな方だい?」
「うちですか? 父と母がいて、別に普通に会社員ですけど」(中略)
「素晴らしいご両親には失礼だが、大樹くん、こんなことを想像してみてくれ。もしもご両親にひどいことを言われたり、食事を出してもらえなくてひもじい思いをしたり、子どもは問答無用で親の言うことを聞け、と言われるような家庭なら、君はどうする?」
「う〜ん、僕ならなるべく早く、家を出たいと思うでしょうね」(中略)
「少数民族を抱える国で起こることも、それと同じだ。国からの扱いがひどければ、少数民族が離れて独立してしまう可能性がある。そして一つが独立すれば、ほかの民族もなだれをうって独立するかもしれない。(101〜102ページより)
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