達人が教える!今こそ買いの「老舗企業株・10選」 松井建設、養命酒製造、カルラ……
その後、もう1つの柱として製造を始めたのがモンキーレンチです。同社では創業当初から、「腰が曲がるまで使える丈夫な製品」をアピールするためにエビのマークを使っており、これを商標のロブスターとし、テクノロジーと、未知や無限を意味するXを組み合わせてロブテックスという社名になりました。
自動車業界向けの鉄鋼をトヨタに販売
岡谷鋼機(7485)は鉄鋼と機械を扱う専門商社で、創業は江戸初期の1669年、名古屋の鉄砲町という町で金物商「笹屋」として始まりました。当初取り扱っていたのは、鋤や鍬などの農具や、釘、斧、鋸、金槌などの工具でした。
昭和に入ってからスクラップの貿易に力を入れるようになって海外に進出。岡谷鋼機となってからは中部地方の財界で名門として知られるようになります。その頃の力の大きさを示すエピソードとして、トヨタ自動車が経営危機に陥ったときに岡谷鋼機が助けたという話が残っており、四季報の【特色】の欄にも「中部財界の名門」と書かれています。
現在の事業は、自動車業界向けの鉄鋼が3割弱。愛知の地場に強く、販売先としてトヨタ自動車とのつながりもずっと続いています。
工作機械の取扱高で最大手の商社
ユアサ商事(8074)は産業機器や工業機械の商社。創業は1666年で、工作機械の取扱高では最大手です。工作機械の分野でトップ企業の要素をもっていますが、私が注目するのは、創業から数えて350年超の歴史がある点。同社は京都で木炭の店として始まり、その後、刃物問屋となって金物を扱い、いまは機械を扱う商社となっています。
時代の変化をとらえて成長していく歴史も素晴らしいのですが、この過程で、電池の会社も興しています。設立したのは12代目の湯浅七左衛門。1918年に湯浅電池(1992年に、ユアサコーポレーションに社名変更)という子会社を作りました。
この会社が、2004年にGSのブランドで電池をつくっていた日本電池と合併して、ジーエス・ユアサコーポレーション(6674)となります。同社は、車載用の電池や産業用電池を手がける会社で、鉛蓄電池で世界2位。ユアサ商事と湯浅電池(ユアサコーポレーション)は親会社と子会社の関係でしたが、合併を機に資本関係を解消しています。
なお、日本電池のブランドのGSは、2代目・島津源蔵のイニシャル(源蔵のGと島津のS)。初代の島津源蔵は、京都で島津製作所(7701)を創業した人で、初代が亡くなったあとに2代目が源蔵を襲名して島津製作所の社長を引き継ぐとともに、のちのGSブランドとなる鉛蓄電池を開発し、日本電池を設立しました。