達人が教える!今こそ買いの「老舗企業株・10選」 松井建設、養命酒製造、カルラ……

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宮大工を起源とした技術をもつ最古参の会社

松井建設(1810)は、老舗株のなかでまず押さえておきたい銘柄。1586年の創業で、400年以上にわたって存在し続けている会社です。

創業年で見ると上場企業では最古参。神社やお寺の建築で培った伝統技術があり、近年は、学校、病院、住宅などの建築が中心となっています。

私が最初に松井建設について知ったのは、生まれて初めて読破した1998年新春号の四季報で、そこに加賀前田家の城大工が起源と書いてあり、「そんなに古い会社があるのか」と驚きました。その後、京都や鎌倉などに出かけたとき、修繕中の神社などに松井建設の幕がかかっているのを何度か見ました。

同社の唯一無二の価値は、宮大工を起源とする技術。伝統工芸の世界です。株は「儲かるかどうか」という視点で見てしまうものですが、伝統や歴史の価値も見逃せません。トレーディングカードでたとえるならレアキャラのカードのような、金銭的な価値では測れない要素があるのです。

株式会社の設立年では、松井建設は最古ではありません。日本の株式会社としては渋沢栄一がつくった国立第一銀行が最古です。国立第一銀行は第一勧業銀行になるなど再編され、現在はみずほ銀行になっています。また現存する企業として、直近まで四季報に第四銀行が株式会社の「最古」と記載されていましたが、北越銀行と経営統合して第四北越フィナンシャルグループになったことでその記述はなくなりました。

このように、設立年が古い会社は統廃合することが多いのですが、松井建設は1939年設立からずっとそのまま。創業から400年超、設立から80年超という時間が経っても、ずっと社名を変えずに存在していることに価値があるのです。

養命酒にはSDGs時代とリンクする価値が多い

養命酒製造(2540)は、薬用酒メーカーとして市場で大きなシェアをもつ知名度の高い会社です。

業績は、ここ数年は売上高100億円、営業利益6億円前後で、大きなブレはありません。自己資本比率が87.5%と高く、有利子負債も0で、経営状態は健全です。

同社の創業は1602年(慶長7年)。長野県駒ヶ根に工場があり、私も過去に見学させてもらったことがあります。まず驚いたのは、工場の敷地に縄文遺跡があること。水がきれいな土地で、敷地にも渓流が通っています。

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