達人が教える!今こそ買いの「老舗企業株・10選」 松井建設、養命酒製造、カルラ……

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養命酒ができた背景について工場内に説明文がありました。それによると、山道に倒れていた老人を助けたところ、お礼に秘伝の薬を教えてもらった。それが養命酒の原型とのこと。真実か伝説か判断が難しいのですが、縄文遺跡を見たあとでは本当のように感じられます。老舗企業ならではの説得力といえるでしょう。

株価上昇につながるカタリストとしては、SDGs時代に自然由来の原料でつくっていることが再評価される可能性があります。

養命酒は生薬が原料です。14種の原料のうち、唯一、マムシ由来の反鼻だけは動物性ですが、あとはすべて植物性。そのレシピが数百年受け継がれているのは大きな価値といえるでしょう。伝統、文化、日本的など、養命酒にはSDGs時代とリンクする価値が多く、そこに注目が集まれば、株価が上がっていく可能性も期待できます。

個人経営のそば屋が100年後に上場企業に

カルラ(2789)は、宮城県を中心に和食ファミリーレストラン「まるまつ」を展開している会社です。

前身はそば屋。創業者の井上政人氏は岩手県出身で、貧乏から脱却するためにブラジルに渡ろうとして、とりあえず仙台に行きました。そば屋でアルバイトをしながら渡航費を貯めるわけですが、店の従業員だった女性と結婚することになり、仙台で「丸松そば店」を始めます。その後、子どもが店を引き継いで徐々に規模を拡大し、ファミレスのチェーン展開につながっていきました。

「人に歴史あり」という言葉がありますが、店にもさまざまな歴史があります。個人経営だったそば屋が、創業から約100年後に上場企業になるという展開も老舗企業ならではの面白さ。そば専門店も展開しています。

安田財閥系の消防用ホース最大手メーカー

帝国繊維(3302)は、日本の4大財閥の1つ安田財閥の創業者・安田善次郎がつくった会社。戦前戦後の大きな社会変化のなかを、財閥系の会社がどのように生き抜いてきたのかを垣間見ることができる老舗企業です。

設立は1887年。安田財閥系は、当時もいまも金融に強いグループですが、そのなかで唯一の製造業として、麻の機械紡績から始まったのがこの帝国繊維です。製麻会社との合併などを経て、1907年に前身となる帝国製麻を設立し、1941年にいまの社名になりました。

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