達人が教える!今こそ買いの「老舗企業株・10選」 松井建設、養命酒製造、カルラ……

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明治時代、製麻は国の重要な産業でした。麻布は天幕、兵器や飛行機を覆う帆布などに使われ、品質のよかった同社の製品は欧州にも輸出されています。国内でも、蚊帳、畳糸、郵便物の運搬に使う袋、貨物列車の幌などに広く使われました。1903年に製造を始めた消防用ホースもその1つで、同社はいまも消防用ホースの最大手です。

帝国製麻は、戦後の財閥解体によって帝国繊維、中央繊維、東邦レーヨンに分割され、以来、帝国繊維は消防ホースを主軸とする会社として成長していきました。

ちなみに、財閥解体では、安田財閥の金融事業群も分割され、安田銀行をルーツとする富士銀行中心の芙蓉グループの形成につながります。その後、金融業界内の統廃合で、現在はみずほフィナンシャルグループ(8411)となっています。

独自技術を応用・転用して新規事業を手がける魅力

多木化学(4025)は、1885年に肥料からスタートした化学品の老舗企業です。

ベースの技術は肥料などにありますが、その技術や知見をさまざまな商品開発に応用しているのがこの会社の面白いところ。スマホの部品向け原料もつくるし、車向けの製品もつくります。バカマツタケもその1つ。これは養殖マツタケのことで、四季報によれば、2022年12月期に事業化をめざしています。

老舗の会社は、養命酒製造(2540)のように、特定のロングセラーを売り続けるケースもありますが、独自の技術を応用・転用して新規事業を手がけるケースも少なくありません。

長年培ってきた技術が老舗企業の価値の1つです。老舗というと古いやり方を伝統として守り続けているイメージがありますが、その側面をもちつつ、技術を活かして新規事業に挑戦することで新たな成長を生み出したり、時代に適応したりしているのです。

マツタケつながりの話では、「松茸の味お吸いもの」をつくっている永谷園ホールディングス(2899)も新しい挑戦で成長を生み出している会社の1つです。設立は1953年で、老舗というほどは古くありませんが、永谷家のルーツを遡ると、江戸時代中期に煎茶の製法を創案した永谷宗七郎という人にたどり着きます。永谷園を設立した永谷嘉男は、宗七郎から数えて10代目。お茶から「お茶づけ海苔」までの長い歴史が見えてきます。

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