横浜市営地下鉄「大幅イメチェン」新車が担う課題 開業50年の節目に登場、久しぶりの「新形式」

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ブルーラインで今後もっとも注目されるのは、あざみ野―新百合ヶ丘(川崎市)間約6kmの延伸計画だ。構想は以前から存在したが、2019年1月に横浜市が事業化を決めた。地域住民らの意見を踏まえ、2021年1月には概略のルートと駅位置を決定。同年6月には環境影響評価の手続きに着手した。

現役最古参の3000A形。4000形導入で置き換える(記者撮影)

市交通局工務部建設改良課によると、現時点ではまだ具体的な着工予定などは示せないものの、2030年の開業目標に向けて「引き続き関係機関との協議や行政手続きに向けて準備を進めている段階」だ。

延伸の概算事業費は1720億円で、同課によると車両も増やすことを想定しているという。ただ、今回の4000形は従来車両3000A形置き換え用の8本で終了の予定で、車両担当者も「そこ(延伸)まではにらんでいない」。その後の新車計画は今のところないというが、延伸開業時にはまた別の車両が登場することになるだろうか。

信頼回復も課題に

コロナ禍による乗客減で厳しい状況にはあるものの、新車導入に延伸計画と前向きな話題が目立つブルーライン。だが一方で、令和に入って以降、脱線事故や衝突事故などのトラブルが続いた。

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2019年6月6日には、夜間作業の工事用車両移動に使う装置が線路上に置かれたままだったことが原因で始発電車が脱線し、同月10日まで一部区間が不通に。約2カ月半後の同年8月29日には、踊場駅で折り返しのため引き込み線に入った電車が運転士の居眠りでオーバーランし、壁に衝突する事故が発生している。

どちらも乗客にけが人はなかったが、人為的ミスによる事故だった。今年3月3日にも、関内駅のポイント付近で工事の際の不備が原因となるトラブルが発生し、全線再開まで約10時間を要した。

横浜市の広い範囲を結び、沿線住民の不可欠な足となっているブルーライン。新型車両によるイメージの刷新もさることながら、再び揺らいだ信頼を回復するためにさらなる安全管理体制などの強化や見直しも重要だろう。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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