横浜市営地下鉄「大幅イメチェン」新車が担う課題 開業50年の節目に登場、久しぶりの「新形式」

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一方、4000形の先頭部は縦のエッジが目立つ独特のデザイン。これまで横に並べていた前照灯・尾灯も縦に配置し、さらにブルー濃淡のラインも縦方向に4色を並べている。

1世代前の3000V形(左)と並んだ4000形。スリムに見えるが車体幅は同じだ(記者撮影)

「縦のライン」を強調したデザインのためか従来車と並ぶと車体幅がスリムに見えるが、「一見そう見えても幅は同じ」(交通局の車両担当者)だ。側面のカラーリングも変わり、窓下のラインを細いライトブルー1本のみとして、ドア横に斜めのラインをあしらった。

外観は従来車から様変わりした4000形。それだけに、車両の制御システムなども大きく変化しているかといえば、「システム的には2017年に導入したこれまでの最新車両、3000V形と基本的に同じ」と車両担当者は話す。実は、4000形発注時の名称は「3000V形2次車」。デザインを大幅に変えたことから、4000形という新形式を名乗ることになったという。

座席幅拡大、「アナログメーター」復活も

とはいえ、外観が変わっただけではない。ブルーの床が目立つ車内は座席端の袖仕切りを大型化し、1人当たりの座席幅を従来車の47cmから48cmに広げたほか、「座り心地もよくしています」(車両担当者)。車いす・ベビーカースペースは床面にマークを表示し、手すりを2段にするなどバリアフリー設備も進化した。防犯カメラもドア上の案内ディスプレイの間に1両当たり3カ所設置している。

利用者には見えにくい部分だが、運転台も従来車から変わった部分がある。速度計がデジタル式からアナログのメーターに戻った点だ。運転士の意見を採り入れた結果で、デジタル機器全盛の中でのアナログ回帰はユニークな変化といえる。

横浜市交通局は車両を車体や台車、制御装置などに分けて発注しており、車体の製造は川崎車両が担当。川崎重工業時代も含め、ブルーラインで同社製の車両は開業当初の「1000形」以来だ。

1編成当たりの製造コストは約13.5億円。2022年度に5本、2023年度に3本の計8本を導入し、1992~1993年製造で最古参の3000A形を置き換える計画だ。

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