「学校に行きなさい」で子どもを追い詰める父親へ 仕事同様の危機管理意識をもってほしい
子育ての話題では、お父さんがどうしても置いてきぼりになりがちです。不登校への理解は、お母さんよりもお父さんのほうが苦労しやすいとも言われており、夫婦ですれちがいが起きることもしばしば。でも、本当はお父さんだからこそ、できることだってあるんです。
今回は講演会「不登校対応の大原則~不登校とお父さん~」(主催・ひきこもり発信プロジェクト)の抄録を掲載します。講師は蓑田雅之さん。蓑田さんは昨年、お父さん向けに『「とりあえずビール。」で、不登校を解決する』を出版。講演では、不登校に関する2つの問題を切り口に、お父さんにできる取り組みのヒントについてお話されました(※写真は蓑田雅之さん)。
親向けの講演「おはなしワクチン」
蓑田雅之と申します。これまで私は不登校とは無縁の生活を送ってきましたが、わが子が自由な校風の「東京サドベリースクール」に通い始めたことをきっかけに、保護者の立場から教育や学校、そして不登校について考えるようになりました。現在は不登校で悩む親子を1人でも多くなくしたいという思いから、「おはなしワクチン」という親向けの講演活動を行っています。
「おはなしワクチン」の活動をするなかで、気づいたことがあります。参加者のなかにお父さんがいないのです。たとえ土日に開催したとしても、お父さんはほとんど来ません。ごくまれに1、2人来てくれたらよいほうです。
なぜお父さんは参加しないのか疑問がわくとともに、率直にもったいないなと思いました。それ以来、お父さんにも不登校を考えてもらいたいという思いが日に日に強くなり、その結果『「とりあえずビール。」で、不登校を解決する』を出版するに至ったのです。今回は本書の内容をベースに私の考えをお伝えするとともに、お父さんがどのように不登校と向き合えばよいのか、そのヒントを提示できればと思います。