5人超の大人数で会議やっても質が下がる2つの訳 10人以上のほうが良いという事はまずありえない

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では4人と5人とでは、どちらがよいのか。私は5人を推します。メンバーの間で意見が割れたとき、奇数なら賛否同数にならず、多数決で決定を下せるからです。5人だと各人の発言時間も確保できますし、各人が自分の存在感を感じられます。では3人と5人ではどちらがよいのか? はっきりした答えはありません。実験によっては、3人から人数を増やしても、集団のパフォーマンスは上がらなかったと結論付けるものもあります。

学知の上手な活用が、ビジネスの質向上の鍵になる

あとは現場で判断ということになるのだと思います。それでも適切な参加者数は3人から5人程度と、範囲を絞れました。この知見は非常に便利です。

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人間の集団行動は、社会科学に多くの学知の蓄積があります。ここで述べた成果はそのほんのひと握りです。実際にこれらの成果を適用するには、自分の関わる現実ケースと合致する研究をいくつも参照して、細かく検討する作業が必要です。例えば「投資先を選ぶ意思決定は何人がよいのか」という現実ケースと近い研究を選ぶというように、です。

ここで扱わなかったテーマもいくつかあります。例えばコミュニケーションコストです。例えば前回の記事では多様性のメリットについては述べましたが、そのデメリットについては述べていません。参加者が多様だとコミュニケーションコストが上がる、というのはデメリットです。極端な話、全員が違う言語しか使えなかったら、まともに意思疎通はできません。多様性だから何でもよいというわけではないのです。

そこで最後にもう一度強調したいのですが、大切なのは形式論ではなく実質論です。手段と目的を混同してはいけません。

坂井 豊貴 慶應義塾大学経済学部教授、坂井豊貴事務所代表

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さかい とよたか / Toyotaka Sakai

ロチェスター大学Ph.D.(経済学)。
オークション方式、レーティング・アルゴリズム、集団の意思決定ルール等を設計するメカニズムデザインを専攻。
近年は経済学のビジネス実装に多くの企業と取り組む。プルデンシャル生命保険社外取締役、デューデリ&ディール・チーフエコノミストを併任。
Web3事業では、ONGAESHI、ChainSight、Gaudiy、Astar Network等にメンバー・アドバイザー・エンジェル投資家等の立場で参画。
主著『多数決を疑う』(岩波新書)は高校国語の教科書に収載、著書はアジアで翻訳多数。
読売新聞、朝日新聞書評委員を歴任。
 

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