転勤命令を拒否することはできるのか? あなたにも出来る!社労士合格体験記(第80回)
このケースでは労働者が家庭の事情を理由に転居を伴う転勤には応じられないと拒否したため、使用者が就業規則に基づき懲戒解雇を行ったことが、人事権の濫用で無効であるかどうかということが争われました。
裁判では「使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されない」としながらも、「転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるべきではないというべきである」と判示しています。
労働契約法3条は社労士試験で頻出
2002年4月に施行された改正育児介護休業法に26条(労働者の配置に関する配慮)が加わったことで、状況が変化してきました。26条は「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」と規定しています。これにより前述の「通常甘受すべき程度」の水準が少し下がったということができるかもしれません。
また、2008年に施行された労働契約法3条3項では労働契約の原則のひとつとして、「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」と規定しています。この3条では1項から5項まで労働契約の5原則を定めており、社労士試験でも頻出の条文ですので、5原則すべて暗記するくらい読み込むことが大切です。
次回は、再び台湾を訪問します。
(撮影:尾形文繁)
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