都市ガス料金に、「原油価格下落」という朗報 上昇してきた都市ガス料金に転機

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こうした料金改定による値下げは、営業努力によるガス販売量の増加と経営効率化努力による固定費低減の成果を顧客に還元するもので、原料費調整制度とは別の枠組みだ。一方、電力業界では原子力発電所の停止に伴う業績悪化を受け、逆に料金改定値上げが相次いでいる。

今後のガス料金の見通しは、やはりLNG価格と為替次第だ。ドル建てのLNG価格は、当面、弱含みで推移する公算が大きい。連動性の強い原油価格が急落しているうえ、世界最大のLNG消費国である日本で原発再稼働が近づき、原発を代替してきた火力発電用LNGの需要減退が見込まれるためだ。円相場が横ばいなら、ガス料金は低下する可能性が高い。

小売り自由化で値下げ圧力

だが、為替市場では日米金融政策の違いなどから、円安ドル高が一段と進むとの見方も多い。そうなると、LNG輸入価格はあまり下がらず、ガス料金も高水準が続く。

都市ガス業界では2017年から小売りの完全自由化が予定されている。現在、一般家庭や商店などの小口契約では依然としてガス会社の「地域独占」が認められているが、完全自由化後は消費者が自由にガス会社を選べるようになる。電力会社などの新規参入によって競争が激化すれば、すでに自由化された大口料金と同様、家庭用料金にも下落圧力が高まりそうだ。

(「週刊東洋経済」2015年1月24日号<1月19日発売>の「価格を読む」を転載)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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