豪ドルは緩やかに下落、経済は2015年底打ち HSBCのエコノミスト、ブロックサム氏に聞く

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Paul Bloxham● 2010年からHSBC グローバル・リサーチ オーストラリアおよびニュージーランド担当 チーフ・エコノミスト 。HSBC 入行以前 は、オーストラリア準備銀行にエコノミストとして 12 年間勤務し、経済部門にて外国経済分析、財務状況分析 など様々な業務を担当。また家計調査、資産価格、金融政策、グローバルなコモディティ価格の動向などにわたる論文を発表。国内外のビジネステレビ番組においてレギュラー・コメンテーターを務める一方、オース トラリアの新聞の社説欄に定期的に寄稿を行う。ロンドン大学にて経済学修士号を取得。(撮影:梅谷秀司)

長く続く経済成長と高い資源価格を背景に、先進国では異例の高金利で、一時は人気を集めた豪ドル。しかし、2012年には資源価格の下落とともに豪ドル相場も反落。このところの資源価格の急落で先行きが懸念される。HSBCのチーフ・エコノミスト、ポール・ブロックサム氏に今後のオーストラリア経済と豪ドルの見通しを聞いた。

――オーストラリアの経済の現状は。

オーストラリアの経済は長期にわたり好調を維持してきた。GDP(国内総生産)のプラス成長が実に23年間続いている。オーストラリアの歴史上でも最長の好景気で、OECDの他の国でも例を見ない現象だ。2008年の世界金融危機以来、オーストラリアのGDPは14%拡大した。これに対し、米国は6%の増加であり、欧州は2%の減退と縮んだ。

このような拡大を支えてきたのは中国の成長だ。また、近年は鉱業のブームが大きかった。鉱業のGDPは数年間にわたってGDP全体の平均を上回っていた。とくに2011年、2012年は拡大した。だが、その後、コモディティ価格が下落してGDPの伸び率は鈍化している。

鉱業以外のセクターへ、けん引役がシフト

ただ、オーストラリアのGDP全体に占める鉱業の割合は小さい。90%は鉱業以外が占めている。中央銀行であるRBA(オーストラリア準備銀行)が、鉱業以外のセクターのテコ入れを図るために、2011年から利下げを行い、政策金利は2013年8月以来、2.50%の低水準となっている。その結果、経済は回復していくと見ている。

現在、オーストラリアの成長のけん引役は、鉱業から鉱業以外のセクターへとシフトしつつある。とくに、金利の引き下げが住宅販売、住宅価格、住宅建築活動を押し上げている。住宅価格は年率9%上昇し、建築も14年に大きく伸びた。低金利と住宅価格の上昇を背景に、小売り売上高も伸びている。

ただし、鉱業から鉱業以外のセクターへの移行は完璧にスムーズに行われているわけではない。GDP成長率は2013年にはが2.1%に低下し、2014年は2.8%であったと見られ、2015年も2.8%と横ばいの見通しで、3年間はトレンド成長率の3%を下回る。一方で経済成長の回復に、オーストラリア・ドル(以下、豪ドル)安は支援材料となる。米ドルが高くなり、豪ドル安が進むことで、オーストラリア経済のリバランスが促進される。

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