豪ドルは緩やかに下落、経済は2015年底打ち HSBCのエコノミスト、ブロックサム氏に聞く

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――資源価格はまだ下げており、中国経済も減速している。その影響は?

資源価格の下落は最大のマイナス要因だが、中国経済は規模ではまだ巨大であり、15年も7%の成長を維持すると見ている。オーストラリアの商品に対する需要は旺盛で、鉄鉱石や、LNG(液化天然ガス)のオーストラリアからの輸入が伸びる見通しだ。

鉱業ブームの時に、LNGの生産拡大へ向けた投資が伸びて、現在、オーストラリア全土で7つの大きなプロジェクトが進行している。これが中国、日本、韓国、台湾などへ向けたLNGの生産拠点になる。2015〜2016年に稼働が急増する見込みで、価格は下がるが、生産能力が飛躍的に伸びる。

豪ドルの下落は緩やか、2015年末に0.78米ドル

――ボリュームの増加のプラス要因と価格下落のマイナス要因、どこかでマイナスの方が大きくなるのではないか。

LNGは分岐点を見つけるのが難しい。プロジェクトはすべて契約が締結されているが、内容は公開されていない。ただ、ほとんどの契約は2009〜2010年の原油価格が1バレル=60ドルの頃に締結されているので、まだ利益は出ると思う。

資源価格は重要だ。下振れリスクとしてもっとも懸念されるのは、鉄鉱石だ。鉄鉱石は輸出の20%を占め、鉄鉱石の輸出がGDPの4%を占めている。ただ、オーストラリアは鉄鉱石ではコストが最も安い生産者だ。最も高い生産者は世界の鉄鉱石の20%を生産している中国だ。現在の鉄鉱石の価格は1トン当たり70ドル。オーストラリアの主要なメーカーのコストは1トン当たり35〜40ドル。中国はコストが1トン当たり90〜110ドル。今後、中国は価格を下げると思うが、オーストラリアには競争力がある。

――中国の7%成長は投資依存で維持されており、無理をしているのでは?失速する恐れがあるのではないか。

HSBCではそうは見ていない。

――今後のRBAの金融政策と豪ドルの見通しは?

政策金利は2015年末まで2.5%で据え置くと予想している。豪ドルは引き続き安くなるだろう。米国が2015年の第3四半期、6〜7月頃には利上げに踏み切り、米ドルが上昇し、相対的に豪ドルは下落する。ただ、年末にはRBAも利上げをしなくてはならなくなり、2.75%に政策金利を引き上げると見ている。利上げペースは緩やかだが、2016年末で3.5%になっていると思う。豪ドルは緩やかな下落で、15年末で0.78米ドル、2016年では0.75米ドルと予想する。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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