ロシアは楽観できないが、株価は値固めへ 「悪いとこ取り」に陥った世界のマーケット
話は昨年12月にさかのぼるが、私が講師を務めさせていただいた投資セミナーでは、参加者の方から、「掉尾の一振(年末の大納会に向かって株価が上振れすること)、今年(2014年末)は来ますよね!」というご質問が多かった。
マスコミで報じられる、年始恒例の専門家等の年間株価の見通しでも、新春らしく明るく、年末高を見込む向きがほとんどだった。もちろんそうした気持ちはわかる。だが、おめでたい相場になってほしいと願えば株価が上がるほど、残念ながら株式市場はおめでたくはない。
ロシア情勢は楽観できないが、短期的には「行き過ぎ」
ただし、今の世界市場は、「いいとこ取り」ではなく、逆におめでたくない面ばかりにとらわれた、「悪いとこ取り」に陥っている。しばしば市場は、悪材料に心理的に支配されると、聞く耳を持たなくなる。それは「馬の耳に念仏」であり、英語では “like water off a duck's back” (カモの背中にいくら水をかけても弾かれてしまい、無駄になるかのように)と言う。市場は「ウマい話など、皆無カモ」と、思いこんでいるようだ。
悪材料の筆頭格は、原油価格の下落である。WTI原油先物価格は1月6日には一時1バレル48ドルを割り込んだ。このため、ロシア経済の悪化や、それが欧州諸国に与える悪影響が懸念されている。また、米国のシェールオイル・ガス業者が立ちいかなくなり、そうした業者向けの融資が不良債権化するとの懸念も広がっているようだ。
しかし、ロシア政府は外貨準備として、米ドルやユーロを約4000億米ドル(約48兆円)保有している。全く架空の世界の話だが、仮にロシアの民間企業が、輸入代金の支払いに必要な外貨を全く用意できなくなり、政府が外貨準備で肩代わりするような事態に陥ったとしよう。ロシアの1年間の総輸入額は3150億ドル程度であるので、1年間の代金はまかなえることになる。
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