テレビが低視聴率でもドラマ枠を急に増やした訳 ついに動きはじめたテレビ業界の変心と危うさ

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ドラマに限らずテレビ番組全体の視聴率が下がっているのは間違いありません。2010年代からジリジリと下がり続けていたものの、2020年代に入ってさらに下がっているのです。

とはいえ、録画や配信での視聴が増えているため、「テレビ番組が見られていない」というわけではないでしょう。ネット上の記事やSNS投稿が最も多いのがテレビ番組関連であり、その数が2010年代より増えていることなどが、それを裏付けています。

前年比300%超の見逃し配信再生数

なかでも録画視聴以上に増えているのは、TVerを中心にした見逃し配信での視聴。たとえばフジテレビは、「3月の見逃し配信数が6455万再生の過去最高値を記録した」ことを明らかにしました。ドラマ「ミステリという勿れ」のヒットがあったとはいえ、前年比305%の増加率は驚異的。月間ユニークブラウザも945万を記録するなど、飛躍的に配信視聴が増えている様子がうかがえます。

特にドラマはクールごとに「各局の配信再生数記録を更新する」という右肩上がりの状態。「ドラマの配信再生数はバラエティより5~10倍程度多い」と言われるほど、その影響力は月を追うごとに大きくなっています。

そしてドラマの影響力が大きくなっているもう1つの理由は、「これまでなかなかリーチできなかったネット中心の生活を送る視聴者層に訴求できるコンテンツ」だから。とりわけ若年層の視聴者を求めるスポンサーが多い以上、テレビ局としては、彼らに向けたコンテンツを作る必要性があり、その最たるものがドラマなのです。

実際、新設されたフジテレビ水曜22時台の「ナンバMG5」は、若年層も見られるヤンキー学園モノ。間宮祥太朗さんや満島真之介さんら俳優の大きな演技も、終盤の大がかりなアクションシーンもスマホ視聴に合う演出でした。

また、TBSの「ドラマストリーム」もティーン層や働く女性がメインターゲットの“スパイスの効いた恋愛ドラマ”というコンセプトの新ドラマ枠。NHKの「卒業タイムリミット」も高校が舞台の青春ミステリーであり、若年層を狙った作品であることは明らかです。

さらに、「視聴年齢層が高い」と言われるBSがドラマ枠を新設し、しかも時代劇ではなく現代劇を放送するのは、配信や若年層の視聴を狙っているからに他なりません。

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