テレビが低視聴率でもドラマ枠を急に増やした訳 ついに動きはじめたテレビ業界の変心と危うさ

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配信での視聴が増えたメリットの1つに、「放送枠にとらわれず稼げるようになった」ことが挙げられます。たとえば深夜ドラマでも、クチコミで火がつけば配信視聴が進み、自局系列の動画配信サービスに誘導したり、映画化につなげたりなどの収益化が可能。もはや「ゴールデンタイムの番組でなければ稼げない」ではないのです。

実際、2020年秋に深夜25時台で放送された「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(テレビ東京系)は視聴者の熱狂的な支持を集めたほか、数々のドラマ賞を獲得し、現在は映画版も公開されています。

コンテンツ企業に生まれ変わるTBS

さらに同作は世界中で配信され、主に台湾や東南アジアの国々で大きな反響を呼びました。このような配信によるグローバルな展開こそ、新たなドラマ枠が急増しているもう1つの理由です。

TBSは「2030年に向けてメディアグループからコンテンツグループへ転身を図る」という企業戦略を明らかにしました。「ネットが情報収集するためのツールではなく、動画視聴するためのメディアになった」という現実を受け入れ、強みであるコンテンツ制作力を生かしたビジネスモデルに変えようとしているのです。

だからこそTBSは昨年、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」をディズニープラス、「日本沈没―希望のひと―」をNetflixで世界配信しました。今春の「マイファミリー」もディズニープラスで世界配信されていますし、国内放送で広告収入を稼ぐことだけでなく、世界配信で稼ぎはじめているのです。

同様に日本テレビも今春の「金田一少年の事件簿」をディズニープラスで世界配信することを発表しました。今春、ドラマ枠が急増したのは、テレビ局がようやくグローバルな視点を持ちはじめたことの証であり、「国内スポンサーからの広告収入を奪い合う」というドメスティックなビジネスの限界を受け入れたからではないでしょうか。

「見てもらえるのなら、放送にこだわりすぎないほうがいい」「海外の配信視聴を確保していかなければ未来はない」。そんなテレビ局の変心を感じてしまうのです。

もちろんTBSならParavi、日本テレビならHulu、フジテレビならFODなど、自社系列の動画配信サービスでもドラマは主力コンテンツであり、TVerなどの無料配信における広告収入も含め、国内の配信収入が軽視されているわけではありません。

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