ツイッター「買収提案」でどうなってしまうのか 大株主のイーロン・マスク氏考えを変えた
ツイッターが検討しているポイズンピル防御策は、よくある戦術だ。これは、基本的に、買収対象企業が市場に新株を大量に投入したり、買収候補者以外の既存株主に割安で株式を割り当て購入させたりすることで、買収額をより高くするものである。
ツイッターがこうした対策を講じれば、マスク氏はいわゆる株式公開買い付け(TOB)で株主から直接保有株式を買い上げるオファーができる。マスク氏の提案によっては株主がマスク氏に株式を売却し、同氏がツイッターの経営権を得ることも可能だ。
また、取締役会は、ツイッターの買収を希望するほかの企業からオファーを募ることも検討していると、同社の計画に詳しい人物の1人は語る。これも買収ターゲット企業の間ではよくある動きである。ツイッターがすでに、どこかにアプローチしているかどうかは明らかになっていない。
資産調達能力に疑問の声も
ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブズ氏は、買収にはマスク氏が150億ドルから200億ドルの資金調達をする必要がある可能性があると指摘している。マスクは世界一の資産家であるが、その資産の多くはテスラ株に縛られている。
ツイッターはマスクの資金調達能力を疑問視したり、同社を過小評価していると主張したりする可能性がある。今回のマスク氏のオファーは、同氏が1月末に投資を始めた前日の株価に比べ、54%のプレミアムがついている。しかし、ツイッターの株価は昨年の大半、マスクの提案額よりも高く取引されていた。
マスク氏がツイッター株の大量保有を発表したとき、ツイッターの共同創業者であるジャック・ドーシー氏を含む取締役数名が歓迎の意を表明した。ツイッターはマスク氏に取締役会のポジションを用意することで、同氏が公の場で同社を批判するのを防げるようになるだろうと幹部は期待していた。しかし、その歓迎の声はすぐに立ち消えとなってしまった。マスク氏は役員就任を辞退したのだ。
13日までに、マスク氏は次の一手を公表する用意があった。ツイッターのブレット・テイラー会長に宛てたメッセージの中でマスク氏は「私はツイッターが世界中の自由な言論のためのプラットフォームとなる可能性を信じているし、言論の自由は民主主義が機能するためには社会に欠かせないものだと信じている」と述べており、後から公開された米証券取引委員会(SEC)への提出資料によれば「ツイッターは非公開化するべきだ」としている。