ツイッター「買収提案」でどうなってしまうのか 大株主のイーロン・マスク氏考えを変えた

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マスク氏は商品としてのツイッターをどうしていくのか詳しいことは述べていない。しかし、この数日間にマスク氏と会話した人物によると、私的な会話の中で同氏は、ツイッターにおいて好ましくないコンテンツでも「和らげる」ことをしないようにする考えを示しているとのことだ。

しかし、そのビジョンは細かいところまでは詰められていない。暴力的・抑圧的な言論にツイッターはどう対処すべきかについて問われたとき、マスク氏ははっきりとした回答を避けている。

同氏は14日のTEDインタビューの中で、アメリカの法律で「犯罪」となるツイートに対する制限を緩和するよう提案している。ツイッターはスパム、暴力的な脅迫、組織的な虚偽情報の流布、個人情報の共有など、同社のプラットフォーム上でさまざまな言動を禁じている。また、選挙結果や新型コロナのパンデミックに関する虚偽情報も取り締まっている。

ツイッター従業員からは反対の声

マスク氏が4月上旬にツイッター株の大量保有を発表して以来、同社従業員の多くはマスク氏のツイッターへの関与に関して声高に反対している。同氏が企業文化を変えてしまい、プラットフォーム上での弱い者いじめや脅迫、虚偽情報などの問題に対処しようとする努力に水を差してしまうだろうという主張だ。

また、同氏は一貫して言論の自由を認めているわけではないとの指摘もある。事実、同氏はテスラに対して批判的な発言をした従業員や同氏のプライベートジェットを追跡するアカウントに対して停止を依頼したこともある。

14日午後に行われた緊急全社会議において、ツイッターのパラグ・アグラワルCEOは従業員が平静を取り戻すよう努め、マスク氏によって「われわれが人質に取られているとは考えていない」と発言。アグラワルCEOに対し、なぜもっとツイートを増やし、マスク氏の度重なる批判に反論しないのかという質問も出た。

従業員は、取締役会がいつ、どのようにして決断を下すのか、アグラワルCEOに迫った。同氏は言明を避けつつ、取締役会は厳しいものになると述べる一方、プロセスについてはそれ以上のことは伝えられない、とした。また、従業員に対し、取締役会による最終的な決定については、経営陣からの伝達よりも、ツイッター上での発表が多くなるだろうと予告している。

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