「テレビゲーム」は子どもがやるものと思われがちですが、書籍や映画ともまた違う独自のシリアスな、あるいはユニークな作品が多数あります。その魅力は奥深く、大人の趣味として楽しめるほどに成熟しているといっても過言ではありません。
そこでこの連載では、ゲームの評論やコラムを10年以上書き続けているゲームライター、いわばゲームで遊ぶプロである渡邉卓也氏が、ゲーマーからは人気でも一般的にはあまり知られていないであろう著名な作品や傑作を紹介します。
第6回は、コントローラーのボタンを押すだけで涙が出てくるゲーム『ブラザーズ 2人の息子の物語』を取り上げます。
嫌な予感がしたが、遊んでみると評価は逆転
テレビゲームの魅力は確実に多くの人に知れ渡っているわけですが、なかには映画監督がそれに気づいて転身したケースもあります。
スウェーデンを拠点に活動するジョセフ・ファレス氏は元々、自身が経験したレバノン内戦を題材にした映画などを制作していたのですが、あるときゲームの魅力に気づきます。そして制作したのが2013年にリリースされた『ブラザーズ 2人の息子の物語』でした。
正直なところ「映画監督が作ったゲーム」は、ゲーム好きからすると嫌な予感がするものです。そもそもゲームは自分で操作して遊ぶのが楽しいのであって、見る行為を重視する映画とは性質が異なるのですから。
私もあまり気乗りしなかったわけですが、実際に『ブラザーズ 2人の息子の物語』を遊んでみると評価は逆転しました。これはきちんと“ゲームの魅力”に気づいた人の作品だったのですから。
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