エクソンモービルは、何がすごいのか 「石油の帝国」、国際政治経済を動かす黒幕
本書は、ピュリッツァー賞を二度も受賞した著者が、400以上ものインタビュー、現地調査、機密指定解除されたりWikiLeaksに暴露されたりした政府文書、そのほか多くの資料に目を通してまとめあげた検証記録である。広く世界政治経済に影響を与えているにもかかわらず、内情が長くベールにつつまれていた巨大企業の姿をあぶりだした希有な一冊として世界中で賞賛を浴びている。
「年間最優秀ビジネス書賞」を獲得
英ファイナンシャルタイムズと米ゴールドマンサックスが毎年主催するビジネス本ランキングでは、全世界的にベストセラーとなった評伝『スティーブ・ジョブズ』、マイケルサンデル教授の『それをお金で買いますか』、『国家はなぜ衰退するのか』、『トレーダーの生理学』などをおさえて、「年間最優秀ビジネス書賞」を受賞した。
エネルギー関係者はもちろん、ぜひ世界史や国際政治経済に興味ある人に読んでもらいたい一冊だ。著者はあえて自分の考えを読者に押し付けるのではなく、事実を淡々と述べて、事実の解釈は読者にゆだねている。国単位で統治される現代の国際政治経済の世界で、世界最大の民間エネルギー会社がどのように振る舞っているのか、かつての東インド会社との違いは何なのか、といった視点で本書を読み進めると興味深いだろう。
なにより、個人的に、本書を書棚に飾ることをぜひオススメしたい。黒地に白色の明朝体で『石油の帝国』と書かれた背表紙は、シンプルだが、骨太で重厚感をかもしだす。本書を飾るだけで、本棚がビシッとしまる感じがするのだ。
本書で紹介されているエクソンモービルの活動地域は、ロシア・イラク・インドネシア・赤道ギニア・ナイジェリアなど、そのほぼ全てが日本へ石油や天然ガスを輸出している国々であり、日本人にとっては興味深い内容である。
普段わたしたちが何気なく使っているエネルギーがどのような国や地域から運ばれてくるのか、また、誰がどのように開発しているのか、本書を読んではじめてその全容が明らかになる。
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