「転勤廃止」の浸透で陰湿リストラが復活する謎 「追い出し部屋」の復活、事業所閉鎖の増加も

拡大
縮小

「廃止・大幅縮小を決定済み」「縮小の方向で決定済み」とした回答企業の担当者は、転勤廃止のメリットを強調していました。

「当社でも夫婦共働きの社員が増えてきて、単身赴任の弊害が問題視されるようになりました。今回、コロナ禍でテレワークなど働き方が大きく変わってきたことから、転勤廃止を決断しました。今回の決定を社員は好意的に受け止めています」(IT)

「ここ数年、採用の会社説明会で学生から転勤の有無を質問されることが増えました。20代の社員が転勤を嫌がって退職するケースもチラホラあります。転勤を廃止したことで、採用や離職防止に効果があると思います」(金融)

キャリア形成に弊害も

一方、「検討中」と回答した人事部門関係者は、転勤廃止の必要性を認識しつつも、影響を慎重に検討していることが伺えました。

「従業員満足を考えると、転勤廃止は必要です。ただ、現在の人事評価制度では、社員がジョブ・ローテーションでステップアップしていくことを想定しており、転勤廃止となるといろいろな制度を変更する必要があります。昨年から検討していますが、結論は出ていません」(精密)

「慎重に検討しています。個人的には、親の介護などの事情で転勤が難しい社員に個別に対応するという現在のやり方で良いと思います。ただ、これだけ話題になり、同業他社が先に決定しており、経営陣は『検討しないわけにはいかない』と焦っているようです」(電機)

なお、「検討していない」という回答には、「当社は全世界に拠点があり、海外赴任なしで事業展開することは考えにくい」(商社)など不要だから検討していない場合と「将来的には検討が必要だと考えるが、まだ着手していない」(物流)という場合がありました。

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