交際終了が来たことを伝えると、きよしは落胆した声で言った。「休みがなかなか合わなかったから仕方ないです。僕の仕事環境だと、フリーランスの女性と付き合うのは、難しいんですよね」。
果たして本当にそうなのか。お断りされた理由は、実はそこではない。
かずひと(40歳、仮名)は、自営業者で年収が1300万のバツイチ。30代半ばのときに付き合っていた同い年の女性と婚約した。しかし、その直後に彼女がキャリアアップできる仕事を会社から言い渡された。それは、海外赴任が必要な仕事で、結婚よりも海外に行きたくなった女性は、婚約を一方的に破棄してきた。
その後、かずひとは相談所に入会。そこで出会った年下の女性と結婚をした。しかし、その結婚は数カ月でうまくいかなくなった。
入籍直後に女性が「職場の人間関係がよくないから」と、かずひとには相談もせず仕事を辞めてしまった。その後も次の仕事を探すこともなく、家事をすることもなく、部屋でゲーム三昧。かずひとには、それが遊びほうけているように見え、口論が絶えなくなり、離婚となった。
これらの破談話を入会面談で話してくれたかずひとは、こう続けた。
「バツイチ」が婚活できない理由なのか?
「僕は仕事が好きですし、やりがいを感じています。でも、婚約破棄をした彼女のように、恋人や家族のことは二の次で、仕事に邁進するようなことはしたくない。そうかと言って、離婚した元妻のように働くことを放棄する女性もどうなのかなって。専業主婦を否定しているわけではないんです。僕は女性の収入をあてにはしていないけれど、仕事をすることで社会と繋がっていてほしいなと思うんです」
こうして始めた婚活だったが、思ったようにうまくいかない。
「1度目の婚活をしていたときに比べて、申し込んでも受諾される確率が少なくなったように思うんです。それは、バツイチになったことが影響していますか。年齢でいえば、前回の婚活のときから1つしか歳を取っていないのですが、その1歳が大きいのでしょうか」
しかし、先にも記したが20件申し込みをしても、ヒットするのは1件か2件だ。さらに、新型コロナで感染者が急増したりすると、見知らぬ人と出会う婚活には二の足を踏む人たちも出てくる。
お見合いを20件から30件申し込めば、2件、3件は受諾されていた。この状況下では、かずひとの受諾率は平均以上だった。また、お見合いをすれば、6割方は交際になった。
1、2度会うと、交際終了になるケースがほとんどだったなかで、りえ(仮名、38歳)とは、毎日LINEでやりとりをし合い、週1のペースでデートを重ねていたようだった。
これはうまくいくのではないか――。そう思っていたら、かずひとから連絡が入った。
「LINEは毎日やり取りしているんですが、ここ1カ月、まったく会えていないんです。コロナの感染者が日に日に増えているのを気にしているみたいで、『コロナが落ち着くまで、会うのは見合わせましょう』と言われました。でも、一向に落ち着きそうもないし、これでは当分会えません」
順調だった交際に暗雲が垂れ込めたと思ったのか、かずひとは新たなお見合いの申し込みをかけ出した。そこからいくつかのお見合いをし、くみ(37歳、仮名)と交際に入った。こちらは毎日のLINEもできていたし、週1ペースで会うことができていた。
そして、私にこんな連絡を入れてきた。
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