錬金術師にまつわる記録には何とも驚かされる訳 世界の根源を求め、世の中を発展させたワザも

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現代の感覚からすれば、「そんなものできるわけないだろう!」と思うことでしょう。しかし、当時の錬金術師は本気で取り組んでいたのです。

また、錬金術の有名な例として「賢者の石」というものもありました。金や銀を作るのは、この賢者の石の効果を試すためだともいわれています。

その名に「石」とついていますが、本当の石ではなく、ルビーのように輝く赤い粉末のような重い物体、または赤く透明な液化可能な石ともされていました。賢者の石には驚くべき効果があり、不完全なものを完全にする、病にかかった者を治すなど、万能薬の効果もあるといわれていたのです。

サイコな技術・錬金術が産業革命を前進させた

現代人の感覚からは荒唐無稽な技術に思える錬金術ですが、その可能性を追求していた錬金術師たちとはどんな人物だったのでしょうか? 彼らは奇人変人だったのかといえば、そんなこともありません。再びパラケルススを例に出しましょう。彼は医者でもあり、その優秀さもエピソードとして残っています。

例えば、ほかの医者によって治る見込みがないと見放されていた少女に薬を与え、汗をかかせるなどの処置を施し、病を治しています。また、「ほかの医者が治すことのできなかった胃の痛みを治してくれた者には100グルデンを支払う」との申し出を受けたパラケルススは、1回の診療と少量の薬で患者を治してしまったため、6グルデンしか報酬を受け取れなかったとの記録も残っています。

ほかにも医者としてのエピソードが残っていますが、その背景には錬金術の存在があり、患者を治療した薬も錬金術の成果によってできたものだったのです。

物理学の権威であるアイザック・ニュートンも錬金術を学んでいました。彼は「錬金術によって宇宙の謎が解明できる」と考えていたといわれていることから、錬金術が近代科学者に与えた影響の大きさを窺い知ることができます。

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