錬金術師にまつわる記録には何とも驚かされる訳 世界の根源を求め、世の中を発展させたワザも
錬金術は現代の化学に近いもので、その源流は紀元前3世紀〜紀元後3世紀頃のエジプト・アレクサンドリアにあるといわれています。この地では銀や銅を生産する冶金術が発展しており、当時の職人たちは技術を磨き、壁画などにその技術を残し、後世に伝えていました。これが古代ギリシアへ伝わり、哲学の影響も受けて知識が学問体系化していきます。錬金術はその基礎が書かれたヘルメス・トリスメギストスによる『ヘルメスの書』が有名ですが、これもこの頃成立したものだと考えられています。
この時代の錬金術は、主に金を取り出す手段を応用して宝石を生成する技術でした。3世紀頃に書かれた『ライデン・パピルス』には、金や銀に別の金属を加えて増量する方法のほか、宝石の作り方なども記されていました。
この錬金術が十字軍遠征などを経た11世紀以降、アラビアを経由して西ヨーロッパに渡り、錬金術の最盛期ともいえる時代が幕を開けていったのです。
錬金術が夢想した驚愕の物質
錬金術は立派な学問ではあったものの、中世ヨーロッパでは「魔術の一種」と見られていました。それはこの頃の錬金術が先の宝石を生成する技術から、ベースになる金属から貴金属や不老不死の薬を作ることをメインにするようになったためです。それまでの常識の範囲外の発想・技術だったので、人々から「魔術を操っている」と認識されていたのです。
例えば、飲めば不老不死になるとされた「エリクサー」という霊薬。また、錬金術で人工的に作る人間「ホムンクルス」なども有名です。ホムンクルスは有名な錬金術師パラケルススが本格的に取り組んでいます。
彼の著書にはホムンクルスの作り方も述べられており、それが次の通りでした。
まず人間の男性の精液を採取し、蒸留器に投入して、それを40日間密閉して腐敗させます。その中に透明で人間のようなものが現れるので、それに人間の血液を与えつづけます。その後、馬の胎内と同温度で保温。40週後には人間の姿のホムンクルスが誕生するとされました。
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