若手社員に調査「ダメな50代・期待する50代」の差 少なくともデジタルツールには対応したい
一方、会社が50代社員に最も求めているのは、「人を育てること」です。人材育成は、評価基準の重要なポイントでもあります。自身のスキルや経験を継承し後輩を育てることは、会社に対する多大な貢献になり、自分自身も高い評価を得ることができます。
この体系化をする際にぜひ意識していただきたいのは、「普遍性」「汎用性」「網羅性」という3つの視点です。
普遍性とは、変わりにくいもの。
汎用性とは、どこでも使えるもの。
網羅性とは、抜け漏れがないこと。
体系化に必要な「3つの視点」を解説する
普遍性とは、時代とともに変化しないものをいいます。たとえば、タスクマネジメントにおける「目標設定」「計画立案」「進捗管理」といった要素は、どんな時代になっても、どんな世代においても、その重要性は変わりません。
明確な目標を立て、それを実現するためにリスクも想定した計画を立て、その進捗を管理する。計画通りにいかなかったらプランB、プランCを発動させ、目標を達成する。こうしたスキルの重要性は、時代も世代も関係ありません。
汎用性とは、いつでも、どこでも、誰でも使えるものです。自分だけができることや、自分の会社だけで通用するものではなく、他社でも、世の中でも使えるもの。たとえば、営業のスキルです。
営業は、お客さまの話を聞くことから始まります。世間話から始め、お客さまと共通の話題を見つけ、「この人の話を聞きたい」と思っていただく。いわゆる「ラポール」と呼ばれるアプローチから始まり、次に「ヒアリング」を行う。お客さまの困りごとを確認し、ニーズを探っていく。
どのような聞き方をすれば、お客さまは話をしてくれるのか。話すのが好きじゃないお客さまにはどうしたらいいのか。こうした状況で用いるテクニックは、どんな会社でも、どんな商材であっても変わりません。オンラインでもリアルでも一緒です。
ヒアリングをしたら、提案書にまとめ、プレゼンをする。わかりやすく、簡潔で、かつ相手の心を引く提案を行う。この「プレゼンテーション」のスキルも汎用的でかつ普遍的です。会社も職種も関係なく、いつでも、どこでも、誰でも使えます。
最後に「クロージング」を行って、契約をいただく。このような営業のアプローチを「抜け漏れ(網羅性)」のない視点でできれば、たいていの会社では通用します。
自分の仕事で「普遍性・汎用性・網羅性」があるのは、どのようなスキルや経験なのか。こうした視点で自分の仕事を振り返ってみてください。体系化できれば、世代間ギャップを超える中高年ならではの技として、自身の強みになります。
長年の経験によって体系化されたスキルや経験は、信頼性や確実性があります。そのテクニックに「普遍性・汎用性・網羅性」があれば再現性も高く、誰でも応用することができます。
ただ、ひとつ注意しておきたいのは、その伝え方です。「それはこうやってやるんだよ!」「なんでこうやらないんだよ!」などと説教が始まったら、誰も聞いてくれなくなります。偉そうな態度や説教は、50代がやりがちな超NGポイントです。
若い世代から「これってどうやったらいいんですかね」と聞かれたときに、「それはね、こうやったらうまくいくと思うよ」と答えられる。50代社員がいちばん喜ばれるのは、このような態度です。