プーチン大盤振る舞いに"危険国家"が大喜び

米国の外交努力が困難に

対北朝鮮外交も進展している。昨年夏、プーチン大統領は旧ソ連時代から北朝鮮が抱える110億ドルの債務の90%を免除し、残債を「援助のための債務」プログラムで北朝鮮国内の健康・エネルギー・教育事業に充てると発表した。

これにより新たな開発プロジェクトへの道が開かれ、2国間の地域投資が増大することになった。複数のロシア企業が、北朝鮮の未開発の鉱物資源への進出と引き換えに、同国の鉄道網再建に協力する計画を立てている。

ロシアは今年、ほかのどの国よりも北朝鮮の指導者を頻繁に自国に招いた。金正恩・朝鮮労働党第1書記の右腕で、労働党で要職に就く崔(チェ)竜海(リョンヘ)氏もその一人で、1週間かけてロシアの政治・経済界の重要人物と相次いで会談した。

パキスタンには、1969年以来初となるロシア国防相の訪問を実現。シャリーフ首相と合同軍事演習や相互間の寄港、地域安全保障問題に関する広範な対話につながる道を開いた。さらに、ミルMi―35「Hind E」重武装攻撃ヘリコプター20機を売り、テロや麻薬密売に対する抗争を援助することに同意した。

これまではインドとの関係に配慮してパキスタンと距離を置いてきたが、プーチン大統領のインド訪問で自信を得た。

中国はロシアの孤立を巧妙に利用

これらはすべて、中国に対するロシアの力を強めたと考えられる。中国はイラン、北朝鮮、パキスタンへの影響力を強めたい一方で、ロシアの孤立を巧妙に利用してきた。ロシアの豊富な天然ガス資源も魅力であり、最近結ばれた両国間の30年間にわたる4000億ドル相当のガス取引契約の交渉は困難を極めた。

ロシアは核の不拡散やテロとの戦いに際して、米国の圧力に屈しないという選択肢を近隣諸国にもたらし、米国の外交努力を困難なものにしている。プーチン大統領は、ウクライナやシリアに対する米国の政策を変更させられなかったものの、その進展を食い止めた。その結果、国際安全保障問題がより一層深刻になってしまった可能性がある。

週刊東洋経済2015年1月17日号

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