家計貯蓄率がマイナス、日本経済の影響は? このままでは財政赤字を国内で賄えなくなる
2014年末に発表された13年度の国民経済計算確報で、家計貯蓄率がマイナス1・3%になったことがわかった。マイナスになるのは史上初めてだ。
家計貯蓄率とは、家計の可処分所得に対する貯蓄(可処分所得から最終消費支出を引いたもの)の割合のこと。貯蓄率のマイナスは、家計が所得以上に消費し、これまで蓄積してきた金融資産を取り崩していることを意味する。
2013年度にマイナスへ転落した直接の原因は、14年4月に実施された消費増税に伴い、駆け込み消費が起きたことだ。家計の可処分所得は12年度比で1・4兆円ほど伸びたが、最終消費支出はこれを上回る7・7兆円も増えた。
家計貯蓄率低下のワケ
だが、家計貯蓄率は一過性の事情とは別に、低下が趨勢となっている。1970年代には20%以上あったが、2000年代に入り、プラス0〜3%台で推移していた。
その構造的な要因には、人口の高齢化がある。高齢者は若いときに蓄えた貯蓄を少しずつ取り崩して生活しており、高齢者世帯の貯蓄率はマイナスになりがち。人口の中で高齢者の割合が高まると、家計貯蓄率も低下していくというわけだ。
では、貯蓄率がマイナスに転じると、日本経済にどんなことが起きるのだろうか。マクロ経済のバランス上、国内の貯蓄と投資の差額と財政収支(政府部門の資金過不足)を合計したものは、経常収支と等しいという関係にある。今までの日本は、巨額の財政赤字が国内の貯蓄で十分賄われ、その差が経常黒字となっている。
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