「保育士が叱らなくなった保育園」の画期的仕掛け 連絡帳もスマホOK、保育士も保護者も大助かり

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子どもたちに「こっちきてー、この写真みてー」と呼ばれて行事を振り返ることは、保育士にとっても非常によいようです。写真を通じて楽しかった経験を伝えたり、こうした場を設けることで子どもたちの気持ちをより深く大切に受け止めたり。保育士にも振り返りの機会ができています。

学校法人くるみ学園ではイベントの写真を飾っている(写真:筆者撮影)

同園では、ほかにも午睡(お昼寝)チェックや連絡帳、お便り、体温計などをICT化しています。手間だけでなく、紙の使用量もかなり減りました。保育士同士の引継ぎや連絡事項もアプリの掲示板を使うようになったため、朝礼も不要になりました。

今では、保育士のほぼ全員が定時で帰宅できるようになり、仕事を家に持ち帰る保育士もいなくなりました。ゆとりが生まれたことで、保育士が子どもを叱ることもほとんどなくなりました。ゆったりとした時間が流れ、そのなかで保育士が満足のいく活動ができるのは、理想的です。そして、このゆとりは自発性や自主性を大切にする保育の実現につながっています。

保育園を選ぶ時代がやってくる

ここまで2つの園の例を見てきましたが、未来の保育施設は、大きく変わってくるだろうと思います。まず、数年後には、保育施設選びのあり方が変化しているはずです。

特に都会では、いまだに待機児童問題が解消されておらず、保護者は保育施設を自由に選ぶことができないでいます。

一方で、少子化は特に地方に影響を与えており、新聞などでも報道をみると、定員割れの施設も出ています。この先、「駅から少し遠くても、教育理念を信じられる園に入園希望が集まる」時代がやってくるでしょう。

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ICTの活用で事務作業の効率化が進めば、子どもに向き合う時間が増え、子どもたちの姿を深く読み取ることができたり、保育士同士で対話する機会が増えたりします。保育の視点が深まれば、保育士のやりがいや満足度も向上します。そしてそれが保育の質の向上につながり、選ばれる園になるといった好循環が生まれます。

子どもの個性や才能が健やかに育まれる幼少期にこそ、まわりの大人が寄り添った温かい環境のなかで過ごしたほうがいいのは、言うまでもありません。そのためにはまず保育士が自分の仕事に対してやりがいを持ち、ワクワクしながら働ける環境が大事なのです。

土岐 泰之 ユニファ株式会社 代表取締役CEO

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とき やすゆき / Yasuyuki Toki

1980年福岡県生まれ。青雲高校、九州大学経済学部卒後、2003年住友商事株式会社入社。リテール・ネット領域におけるスタートアップへの投資及び事業開発支援に従事。その後、外資系戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーやデロイトトーマツにて経営戦略、組織戦略の策定及び実行支援に関与。2013年にユニファを創業。全世界から1万社以上が参加したスタートアップワールドカップにて優勝したことに加え、採用率が全世界で2.5%未満であるEndeavor(エンデバー)起業家に満場一致で選出されるなど、国内外で高い評価を受ける社会起業家。

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