川栄李奈、まっすぐな本音に秘めた女優道の境地 「自分を信じる一歩一歩が飛躍への道になる」

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それから川栄は、実力派の若き名バイプレイヤーとしてドラマや映画で活躍していく。

女優としての長所を、“監督の意志をすぐ取り入れる”、“空気を察する能力”、“キャラクターを作り込みすぎずに、すぐに軌道修正できる”と冷静に分析してくれた。

夢の実現のための、普段から意識している自己投資のような取り組みはあるのだろうか。

「まったくないですね。この仕事は、すべてご縁や運だと思っている。結局、そこが大事だなと思っています。だからこそ自分の与えられた役をつねに頑張るという気持ちは強く持っている。根は負けず嫌いなので」

そんな負けず嫌いだという川栄だが、女優としての分岐点があった。

NHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(2016年度前半期)に出演した際に、朝ドラは登場人物が成長していき、それを長期にわたって演じる自分も一緒に成長していく実感があった。

「もう一度、この舞台に戻ってきたい」と強く思い、そこから朝ドラのオーディションを毎回受けていた。

「受かるわけがない」どこか諦めに似た気持ちで受けていた朝ドラヒロインオーディションだったが、腐らずに挑戦し続けて6回目を迎えたときに、ついに悲願の瞬間が訪れた。

朝ドラヒロインでも、街中で誰一人気がつかない

2021年度下半期の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)で、朝ドラ初の3人のヒロイン(上白石萌音、深津絵里、川栄李奈)による3世代の物語で、1925年から2025年までの100年間を半年の放送で描く壮大な企画のヒロインに抜擢された。

3人のヒロインが紡ぐ、ラジオ英語講座とともに歩んだ家族の物語。京都を舞台に撮影が行われた。悲願の朝ドラヒロインという大役を川栄自身はどのように受け止めていたのか。

朝ドラヒロインとしての心境を笑顔で語る川栄李奈(撮影:長田慶)

「実は、あんまり実感がなくて(笑)。 『朝ドラに出ると大阪を歩けない』とメイクさんに言われてたのに、誰一人気づかないんですよ(笑)。 

プライベートでも存在感がなさすぎて、自分が”朝ドラヒロインです”という実感が全然なくて、不思議な感じです。何も変わらずです(笑)」

『カムカムエヴリバディ』のイメージの出発点は、「何かを成し遂げたわけではないヒロイン」という設定。川栄自身にも重なるヒロイン像だ。

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