本当に「保護犬・猫」?ペット業界の知られざる裏側 これから飼う予定なら知っておくべき重要事項

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また、誕生日やワクチン接種日も教えてもらえたようで、Aさんは「保護した経緯がわからないのに、小さい頃からの心臓の雑音や誕生日がわかっているのはどういうことなのだろう?」と、店員の返答に混乱していたそうです。

「保護犬」「保護猫」とは、屋外で生活していて飼い主がいない、もしくは劣悪な環境にいて、自治体や民間の動物保護施設、個人宅などに一時的に保護された犬や猫をいいます。最近は飼い主からの引き取り依頼も増えているようです。

このように保護された状況がバラバラなので、冒頭のペットショップのように純血種ばかりが里親募集されていることはありえません。

「ご相談の内容から考えると、このペットショップでは、健康に問題がある、ケガをして外見に問題がある、遺伝子検査で問題があるといった事情で、販売ができなくなった犬や猫、また繁殖を引退した犬や猫を、保護犬、保護猫として掲載し、その経緯を隠して譲渡している可能性が高いですね」

とAさんに伝えました。

保護犬、保護猫を扱っているといえば業者のイメージアップにもなりますし、たくさんの人の目に留まり、引き取り手も見つかりやすい。そこにペット保険の加入、ペットフードや用品の購入などを譲渡条件にすれば、収益にもつながると考えたのでしょう。

ショップで売れ残った子を保護猫として…

このペットショップに勤めていたという元従業員のBさんは、「何らかの事情で販売できない子犬や子猫、売れ残ってしまった子などが多いです。まれに飼えなくなったという飼い主から引き取った子もいますが、そういう子たちを保護犬・保護猫として譲渡することに対し、すごく違和感がありました」と話しています。

保護犬、保護猫に詳しくなければ、純血種だらけの“自称”保護施設などでも異常とは思わず、引き取ってしまうでしょう。実際、Aさんも店員と話をするまでは疑問に思わなかったと言います。

「保護犬・保護猫を1匹でも救いたい」という善意が、一部の動物取扱業者に悪用されている実態がここにあるのです。

では、なぜ動物取扱業者が”自称“保護活動を始めたのでしょうか。

2013年9月に施行された改正動物愛護管理法により、不当な理由による動物の受け入れを自治体が拒否できるようになりました。大量の殺処分を避けるための改正でしたが、その結果、一部の繁殖業者やペットショップは、売れない犬や猫などを「引き取り屋」と呼ばれる業者に渡すようになりました。

ところが、近年の動物愛護の精神の広がりや取り締まりの強化などで、相当数いたといわれる引き取り屋も、徐々に減っていきます。処分に困った彼らが目を付けたのが、注目度の高い保護活動というわけです。

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