本当に「保護犬・猫」?ペット業界の知られざる裏側 これから飼う予定なら知っておくべき重要事項
なかでも多いのは、前述したペットショップのように、売れない犬や猫を保護犬や保護猫と称して、収益になる条件を付けて譲渡しているケースです。保護活動をしていることをうたえば、「社会貢献をしている業者」としてイメージがよくなるとでも考えたのでしょう。
同様に、一部の動物愛護団体や保護猫カフェなども繁殖業者と提携し、売れない子犬や子猫、あるいは繁殖を引退した犬や猫を定期的に引き取り、あたかも飼育崩壊した繁殖業者からレスキューした保護犬、保護猫のようにみせ、一定の収益を得ながら譲渡していることは、最近よく耳にします。
特に目立つのは、繁殖を引退した犬や猫の譲渡が増えていることです。その背景にあるのは、2021年に公布された環境省令の「第一種動物取扱業者及び第二動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(省令基準)」です。
規制で13万頭もの犬や猫が路頭に迷う
経過措置を取りながら2024年6月に完全施行され、飼養設備のサイズ(ケージなどのサイズ)、従業員1人あたりの管理頭数、雌犬・雌猫の交配年齢や出産回数などの数値が規制されることになります。この数値規制によって13万頭もの犬や猫が路頭に迷うといわれています。
今後、注目度の高い保護活動を利用した下請けの動物愛護団体や保護猫カフェなどが、ますます増えていくのではないかと懸念されます。
前出のAさんは、「猫には何の罪もないので引き取りたいけど、そんなペットショップの偽善を手助けするようなことはしたくない」と、地元のしっかりとした動物愛護団体で保護猫を譲ってもらうことにしたそうです。
Aさんの言うとおり、そこにいる犬や猫には罪はありません。暖かい家庭で幸せに過ごしてほしいと多くの人が願っています。しかし、そのような偽善を手助けすることは、「需要があるからやっている。それのどこが悪い」と言い放つ一部の業者の悪しき考え方に、知らず知らずに賛同していることになります。
善意に水を差されないようにするためには、以下のような視点を持つ必要があります。
■保護犬、保護猫が、どこからどのような事情で保護されることになったか、経緯(ルート)を確認する
■きちんとした保護団体・施設なのかを確認する。純血種だらけ(純血種同士で繁殖したMIX犬も含む)というのは通常はありえない
■飼い主として責任をもって飼育できるかなど、きちんとした審査がある
■譲渡条件に保険の加入やペットフード、用品などの購入が含まれていない
保護活動では犬や猫にとって理想的な家庭(飼い主)を求めるため、その譲渡は慎重に行われます。譲渡に向けての審査や手続きも簡単ではありません。
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