NYT保守論客が斬る「仏テロは分岐点」 欧州一の"過激派大国”に未来はあるのか

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従って、今後イスラム教徒の融合と受け入れが進む道があるとすれば、フランスがその先陣を切る可能性が高い。もし、イスラム過激派が地盤を獲得し、より危険度が高い何かに変貌するとすれば、それはフランスの影響力が及ぶ範囲内で起こる可能性が高い。また、欧州がひどくおそれる極右勢力が主流派へと成長を遂げるなら、それもやはり、まずはパリで最初に起こると思われる。

フランスの政治もまた同様に、より広範囲な欧州連合 (EU) 計画の運命を握る中心的存在である。その運命は現在、ドイツの利権と、EUの外縁諸国であるギリシャ、イタリア、スペインの持つ利権との間に横たわる溝によって危機的状況にある。その溝があることによって (さらに20世紀の歴史的重荷によって)、ドイツ自身はいかに経済的影響力を持とうとも、EUを繋ぎ止めることはできないのだ。溝を埋めるには、歴史的、文化的理由だけでなく、地理的にも政治的にEUをまとめることのできるフランスが適役である。

ただし、フランスが徐々にそして決定的に手を引いてしまえば別の話である。そうなれば、プロジェクト全体は崩壊し、一から立て直さなければならなくなる。いずれにしても、フランスの株は上がり、ドイツのそれは落ちるだろう。

融合もしくは分断された大国になる

これまでフランスを悩ませてきた人口統計も、良い方向へ急激に向かっている。ドイツは経済的に豊かでも高齢化が進んでいるが、フランスは経済的に不安定でありながら、出生率は急速に上昇している (倦怠感の中に確かな楽観的見方があることを示している)。あるシナリオでは、2050年代までにフランスは再び経済大国となり、多くの人口を擁する国となると言われている。そうなれば、今よりも融合された欧州における大国となるか、今よりも分断された大陸においてもっとも重要な影響力を持つ国となるかの、いずれかとなる。

また、こうした政治的、経済的パターンの中にあって、重要な知的発展性も存在する。今欧州に蔓延している、歴史の終わり的な無気力感を超えた先に、新たなイデオロギーの対立、あるいは統合があるとすれば、それは数多くの革命が誕生した場所でまず起こるだろう、ということだ。

フランスはつねに、過激派の国であり続けてきた。絶対専制主義と共和制主義、カトリックと反聖職主義、共産主義とファシズムなどがぶつかり合っていた国は今再び、強力な力がぶつかり合う場となっている。また、文化的不確実性――イスラム教、世俗主義、国粋主義、欧州、そして近代化そのもの――から新たな衝突が間もなく生まれる可能性もある。

過去の衰退は現実ではあるが、未来はまだ白紙のままである。欧州での真の歴史はこれからであるとすれば、それが良いものであれ悪いものであれ、美の国フランスから始まるのかもしれない。

 (執筆:Ross Douthat、翻訳: Gengo)

(c) 2015 New York Times News Service

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