「Web3」をわからない人が勘違いする意外な本質 新しい組織の形「DAO」はいったい何が違うのか

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アメリカのコロラド州デンバーで開催されたカンファレンスで講演するイーサリアムの共同創業者、Vitalik Buterin氏(写真:Chet Strange/ © 2022 Bloomberg Finance LP)
急速に注目が集まっている一方で、まだ発展途上にある「メタバース」や「Web3.0(web3)」などの概念について理解している人は多くありません。VRとブロックチェーンの領域でビジネスを手がけてきた國光宏尚氏の著書『メタバースとWeb3』より一部抜粋・再構成して、これからの新しい組織の形と目されるDAO(自立分散型組織)とは何かを紹介します。

新しい組織の形DAOとは何か

Web3が世界中に注目され、2020年はDeFi(分散型金融)、2021年はNFT(非代替性トークン)、2022年はまちがいなくDAOの年になると確信しています。

DAOは「Decentralized Autonomous Organization(自立分散型組織)」の略で、最小構成は「ビジョン、それに賛同する人が集まるコミュニティー、独自トークン」です。

一番有名なDAOはビットコインやイーサリアムでしょう。イーサリアムを例に挙げると、2013年に当時19歳だったヴィタリックの「あらゆる目的のために使えるブロックチェーンのプラットフォームをつくりだす」というビジョンに共感した人たちが集結。

コードを書く人はコードを書く、マイニングする人はマイニング、資金を出す人は資金を出す、コミュニティーを盛り上げる人はコミュニティー、Dapps(分散型アプリケーション)を開発する人は開発など、各人がビジョンの実現のためにできる貢献をしていき、初期は6人で始まったプロジェクトが、参画した全員の頑張りによって、100人、1万人、100万人と支援者が増えていき、今では1.8億人までDAOメンバーが広がっていきました。

その過程でETH(イーサリアムの発行する独自トークン)の価格も上昇し、約40兆円(※2022年2月末時点)ものネットワーク価値まで成長し、関わったメンバー全員が報われました。

Web2.0(中央集権型)サービスとの大きな違いは、これまでは、ごく一部の創業メンバーや従業員、ベンチャーキャピタルに偏っていたオーナーシップが、初期から貢献したメンバーの多くに分散化されているところです。実際、ヴィタリックはETHの約0.3%しか保有していません。

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