「思考が狭い人」「広い人」分ける頭の使い方のコツ 東大生も感動した「伝説の"論理思考"講座」中編

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【限界1】主体が具体的でない: たとえば、今回のフィットネス・チェーンA社における「自社」の場合、「本社の社長」から「店舗の店員」まで、さまざまなパターンが存在します。しかし、フレームワークでは、あくまで「自社」のような抽象的なレベルでしか、主体を洗い出せません。
【限界2】問い特有の主体を洗い出せない: たとえば、「粉ミルク」の問いには、「病院(病院が両親に粉ミルクをプレゼント?)」という主体がありました。しかし、「消費財(飲食物)」において、病院が関与するような商材は、極めてマレです。そのため、フレームワークのような、広くさまざまなテーマに活用するために「一般化・汎用化」された手法で、「病院」という主体を洗い出せるとは思えません。

以上のように、フレームワークでは、洗い出せる主体の範囲に限界がある点に注意が必要です。

より広く主体を洗い出すためには、「(消費者などの)イメージしやすい主体のフローのイメージ結果から、主体を抽出する」という方法が有効になります。以下、この「イメージしたフローから主体を抽出する」という検討の例を示しておきます。

【例1】フィットネスの問いにおける「店員」の主体の抽出:「消費者の1回の来店・利用」のフローの中の「来店」の場面で登場している(この場面から抽出する)
【例2】粉ミルクの問いにおける「病院」の主体の抽出:「赤ちゃんができてから成長するまで」のフローの中の「出産に際する入院・退院」の場面で登場している(この場面から抽出する)

以上のように、切り口や特徴だけでなく、「主体」自体も、「想像力」を働かせて具体的にイメージした結果から洗い出していくことが重要です。

想像力と論理力の両方を駆使し、視野の狭い検討を防ぐ

以上のように、「何(フロー、主体)に対して想像力を発揮するのかについて、論理的に整理する」というのが、最初に述べた「論理力で想像力を補佐する」という思考・工夫の例になります。

このように、論理力と想像力の両方を駆使しながら検討を進めることで、狭い検討に終わることを防ぐことが重要です。

1.補足:その他の有効な工夫(概要)

ところで、「思考を広げる」うえで、「論理力によって想像力を補佐する」ための工夫は、上記の2種類以外にも存在します。そのため、上記の2種類以外の工夫について、ここで簡単に概要を解説しておきます。

 1.比較対象の設定:何かしらの「特徴」を抽出するとき、他のものと「比較」することで、違いを認識しやすくすることが有効です。そのためには、比較対象を明確に設定する(そのために、まずは比較対象の候補を洗い出す)ことが重要です。
2.類推先の立場のイメージ:問いに関する知識が乏しすぎる場合、問いに対して、直接的に想像力を発揮することが難しくなります。その場合、問いと似ている「類推先」を設定して、その類推先を具体的にイメージして洗い出した特徴・切り口を活用することが有効です。
3.曖昧なイメージ内容の明確化:そもそも、何(フロー、主体)をイメージしているのか、「頭の中では曖昧なまま」の場合が少なくありません。ここで、頭の中で何をイメージしているのかを「明確化」することで、「他のフロー」「他の主体」などへ、イメージの内容・対象を切り替えやすくすることが有効です(加えて、少し「抽象化」したうえで明確化することで、切り替え先の候補を広げやすくなります)。

加えて、「日常生活の中で知識を蓄積する」ことも重要です。

そもそも、具体的にイメージするためには、すでに知っている知識を活用せざるをえません。しかし、知識の蓄積方法が、「問いを解いている本番中」や「読書などの能動的な勉強中」だけでは、蓄積できる知識の量に限界があります。そのため、「日常生活の出来事から、うまく知識を蓄積していく」という習慣を身につけることも重要になります。

ただし、単に知識や経験を増やしても、本番の問いを解くときに活用できない知識になりやすいです(すでに指摘した「言われてみれば知っていたが、自力で思い出せなかった」という知識になりやすいです)。そのため、「本番の問いを解くときに活用しやすい形で、知識を蓄積する」ことも重要になります。

2.注意:「思考を広げる」検討ができていないと「思考を深める」ことが難しい

ところで、本記事(中編)のように「思考を広げて、さまざまな視点・切り口を洗い出す」ことは、「視野が狭い回答の防止(本記事のテーマ)」だけでなく、「考えが浅い回答の防止」にもつながります。

次回の記事では、この点も踏まえながら、「考えが浅い回答の防止(思考を深める)」のための工夫について、解説していきます。

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