「思考が狭い人」「広い人」分ける頭の使い方のコツ 東大生も感動した「伝説の"論理思考"講座」中編
次に、上記のフローの各項目・場面について、より詳細にイメージしてみます。
「具体的なイメージ」から示唆を導く
たとえば、「棚の各商品を比較検討する」場面をイメージしてみましょう。
「ドラッグストアに来て、粉ミルク売り場の前に立っている場面」を、「実際に粉ミルクを購入する親(当事者)の立場」に立って、具体的にイメージしてみてください。特に「初めて粉ミルクを購入する場合」ほど、さまざまな視点から比較検討すると思います。
しかし、以下のとおり、購入商品を決める決定打を見つけるのは、難しいと感じないでしょうか。
・「成分」表示を見ても、どんな成分が優れていると言えるのか、一般消費者が理解することは難しいです。
・「安全性・信頼性」の視点が、強いて言えば重要な気がします。しかし、一定規模以上の大手メーカーであれば、最低限の信頼性を得ていると考えられます。つまり、一定規模以上の大手メーカーの間では、信頼性で違いを感じにくいと思われます。
以上の理由から、粉ミルクは、消費者から見ると「商品間の差別性が小さい商材である」と考えられます(一方、この特徴を、メーカー側から見ると、「他社商品との違いを出すことが難しい商材である」と解釈できます)。
余談ですが、上記の3点の特徴を洗い出すためには、「棚の上の商品を見比べる(価格が目立つ)」⇒「試しに何か1つの商品を手に取る」⇒「商品の側面・裏側を見る(成分表示がある)」⇒(※以下省略)といった形で、より具体的にフローをイメージすることが重要です。
次に、「家に帰って使ってみる(赤ちゃんに粉ミルクを与える)」場面をイメージしてみましょう。
まず、「自分(大人)の食事」と比べると、「赤ちゃんの食事(粉ミルク)」は、かなり状況が異なります。
大人は、「好き嫌い」「微妙な味付けの良し悪し」「毎日同じ食べ物だと飽きる」といった理由から、食事に細かい要求をすることができます。しかし、赤ちゃんは話せないので、「飲む or 飲まない(泣く)」以外の細かい要求をすることができません。
加えて、仮に「赤ちゃんが飲まなかった」場合であっても、「別の粉ミルクに変えよう」という判断にはならない可能性も高いです。なぜなら、飲まなかった原因が、「ミルクの温度」「飲み口の形状」「飲ませるときの姿勢」などの他の問題点あると判断される可能性も高いからです(世間話などで、「ミルクは人肌で」などの話を聞いたことはないでしょうか)。
以上の検討内容を考慮すると、粉ミルクは、(大人の食べ物と比較すると)「初回に利用された商品が継続的に購入されやすい」と想定されます。つまり、粉ミルクは「初回の利用商品に選ばれる仕組みの構築」が重要であると考えられます。
ところで、先ほど導いた「他社商品との違いを出すことが難しい商材である」という点を考慮すると、「初回の利用商品に選ばれる仕組みの構築」は、難度が高いと想定されます。
つまり、粉ミルクにとって、「初回の利用商品に選ばれる仕組みの構築」は、「重要」かつ「難度の高い」内容であるため、「重要な課題」である可能性が高いと考えられます。
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