「思考が狭い人」「広い人」分ける頭の使い方のコツ 東大生も感動した「伝説の"論理思考"講座」中編

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
1.検討例:詳しい主体(消費者) 以外を具体的にイメージする

さて、詳しい主体(例:消費者)以外を具体的にイメージすることで、どんな課題を導くことができるのでしょうか。その具体例として、今回は、以下のケース問題を解説していきます。

問い:とあるフィットネスクラブのチェーンA社の売上を上げるには
補足: このチェーンA社は、「月会費」で料金を取るビジネスモデルであり、「(プールなどの)多様な運動施設」が併設された本格的な店舗が大半であると想定してください。

さて、この問いにおいて、「消費者」の立場をイメージしているだけの人の場合、「入会しても、運動を継続できずに、すぐに退会してしまう」といった課題しか洗い出せません。

しかし、本当にこの課題が「重要」なのでしょうか。他に重要な課題は存在しないのでしょうか。

復習:「フローをイメージ」すると示唆が得られる

さて、ここでフィットネスの店舗で日々働く「店員(店長)」さんの立場を考えてみてください。たとえば、1週間のフローをイメージしてみましょう。

まず、フィットネスへ来店するお客さんは、働いている「社会人」がメインと思われます。

この点を踏まえつつ、「曜日×時間帯」別に、来店客数をイメージしてみると、大きな偏りがあることが想定されます。

・社会人の場合、平日の昼間は仕事があるので、主な来店時間帯は「平日の夕方以降」や「休日」になると思われる
・「休日」の社会人の来店客数は、さまざまな時間帯に分散すると思われる。一方、「平日」の社会人の来店者は、「夕方以降」の時間帯に集中すると思われる。つまり、「平日の夕方以降」が、特に混雑しやすいと思われる。
・逆に、「平日の昼過ぎ」は、主要客層である社会人の多くが来店できないので、店舗がすいている可能性が高いと思われる

次に、上記の検討に対して、「コスト」の視点・切り口による検討を加えてみましょう。

・フィットネスは、「店舗が大きい」うえに「店舗の立地が良い」場合が多いので、「家賃(不動産取得)」にあたるコストの割合が高いと思われる
・「家賃」は、お客さんの有無に応じてコストの値が変化しない「固定的なコスト」である。つまり、フィットネスにおいて、「すいている時間帯は、コストはかかっているのに売上がない、大赤字の時間帯である」と解釈できる

以上の点を考慮すると、「(すいている)平日昼のお客さんを増やす」ことは、大きな課題であると推測されます。

上記の課題は、「消費者」の立場をイメージしているだけでは、なかなか思いつくことが難しい点に注意が必要です。「店員」などの「自社」の立場をしっかりイメージしておくことが重要です。

2.ポイント: まずは問いに関与している主体を広く洗い出す

さて、上記の検討例でも少し示したように、問いに関わる主体は、多数存在することが一般的です。そのため、さまざまな主体の立場をイメージするためには、まず「問いに関わる主体を、広く洗い出す」ことが重要です。

このとき、手っ取り早い方法として、「3C(市場、競合、自社)」などの主体に関するフレームワークで洗い出す方法があります。しかし、この方法は、以下の2つの意味で限界があります。

次ページフレームワークの「2つの限界」とは?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事