コロナ禍を機に医療保険への加入が一時急伸するなど消費行動が大きく変わった生命保険。本当に必要な保険とは何か。商品見直しから生保各社の経営、営業のあり方まで最新情報を満載。
公的保険にプラスオン
コロナ下の最強見直し術
日本国内で今、生命保険の契約件数がどれだけあるか知っているだろうか。生命保険協会によると、その数は実に約1億9000万件。契約者を20歳以上とすると、1人当たり2件の契約を持っている計算だ。
時に日本国民は「オーバーインシュアランス(過剰な保険契約)」ではないかと、海外から指摘されることがある。米国などに比べて公的保険制度がずっと充実しているにもかかわらず、万が一のときへの不安から、民間の生命保険に依存する傾向が強いからだろう。
家計の負担を考え、いざ生命保険の契約を見直そうとしても、そうした特有の国民性や意識が邪魔をすることにもなっている。
そんな状況を踏まえて、生命保険会社の経営を監督する金融庁は、市場の健全な成長に向けて、2021年から生命保険という金融商品の位置づけを改めて国民に示し始めている。
それは、民間の生命保険は、あくまで「公的保険(制度)を補完する」ものということだ。
21年末に金融庁が改定した保険会社向けの監督指針では、「公的保険制度等に関する適切な情報提供を行うことによって、顧客が自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を理解したうえで、その意向に沿って保険契約の締結がなされることが図られているか、という点などを監督上の着眼点として明確化する」としている。
金融庁がここまでするのには、理由がある。生命保険業界の一部で、「万が一重い病気になったときに、高額の医療費を本当に支払えますか」などと、顧客の不安をあおる営業が横行してしまっているのだ。
実は、その「あおり営業」をあろうことか社会保障制度に明るい国会議員に行ったことがきっかけとなり、今回のような監督指針の見直しにつながった経緯がある。
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