太陽電池に未来を託す昭和シェル石油の勝算
宮崎空港から北西内陸部へ車でおよそ40分。豊かな自然が残る国富町で、太陽電池の新工場が今年春に稼働する。工場を所有・運営するのは、ソーラーフロンティア。石油元売り大手、昭和シェル石油が全額出資する太陽電池の製造販売会社だ。同社は同じ宮崎で二つの工場を操業しており、三つ目の立ち上げとなる。
日本で太陽電池といえば、シャープ、京セラ、三洋電機が代表格。シャープは40年以上、京セラ、三洋も太陽電池メーカーとして30年の歴史を持つ。一方、ソーラーフロンティアは第1工場の操業開始からまだ4年。世界的な金融危機の影響を受けた2009年の生産実績はわずか40メガワットで、米ファースト・ソーラーをはじめとする海外有力メーカーの1割にすら満たない(下図)。現時点では、世界はおろか、国内勢の中においても存在感は希薄だ。
ところが、そんな小規模メーカーの立ち上げる新工場が、日本のみならず、海外の業界関係者からも大きな注目を集めている。理由の一つは、その規模にある。今回の宮崎第3工場の生産能力は、なんと単一工場としては世界最大の年間900メガワット。1年間に生み出すモジュールパネル(0・9×1・2メートル)は600万枚超。国内住宅用に換算すると約27万軒分が賄え、その総発電量は原子力発電所1基分にも相当する。