太陽電池に未来を託す昭和シェル石油の勝算

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 昭和シェルは国の制度的な支援を受け、1993年からCIS太陽電池の研究開発をスタート。10年以上にわたる地道な研究開発を経た後、07年に立ち上げた第1工場で年20メガワットの少量生産に挑戦。150億円を投じて09年春に操業開始した第2工場(生産能力は年60メガワット)でも短期間で高い歩留まりを実現し、高出力モジュールの大規模量産技術の確立にメドをつけた。

新工場立ち上げに当たっては、09年末に日立製作所から旧プラズマディスプレー工場の建屋を取得。CIS太陽電池とプラズマは製造プロセスが似通っているため、300名近いプラズマ技術者も引き継いだ。キモとなる製造装置はソーラーフロンティアが独自に開発した。新工場は全体を三つに分け、今年3月までにまず第1エリアの商業生産を開始。第2、第3エリアも順次立ち上げ、年央には年換算で900メガワットの生産体制を実現する計画だ。

世界でも例のないCIS太陽電池の巨大工場稼働を目前に控え、国富町の工場内は今、緊張感に包まれている。「スケジュールどおりに立ち上げるのが、われわれ現場の責任。時間的な制約の中で、各工程の担当者たちは、早朝から深夜まで食事の時間も惜しんでラインに張り付いている」と、副工場長の掛川一樹氏。昨年夏から始めた製造装置の搬入はすでに終えたが、商業生産を開始するまでには、試験生産を繰り返しながら、さまざまな問題点を潰していく必要がある。現在は、総勢250名近い技術者を動員し、最終的な追い込み作業を行っているところだ。


関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事