太陽電池に未来を託す昭和シェル石油の勝算

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業界席巻する中国勢に新工場で勝負挑む

昭和シェルの屋台骨を支える石油精製販売は、国内需要が99年度をピークに減少の一途。精製販売マージンは細り、実質的な儲けも減少傾向にある。業界挙げての生産調整効果などで10年度は久々に採算が上向いたが、経済産業省の予測では今後も年率3%のペースで需要減少が続く見通しだ。取り巻く環境は厳しく、昭和シェルとしては、何としても太陽電池事業を次の大きな柱に育てたい。だからこそ、1000億円もの巨費を投じ、勝負に出たのだ。

その太陽電池産業では今、大きな地殻変動が起きている。市場黎明期から長く日本企業が世界をリードし続けたが、欧州で需要が伸び始めた00年代半ば以降、欧米やアジアの企業が続々と参入。プレーヤーの数は300社前後に増え、5割以上あった日本企業の世界生産シェアは、わずか数年間で1割程度にまで落ちた。代わって台頭したのがアジア企業で、中でも中国勢は今や世界生産ランキングの上位を独占する勢いだ。

現在主流の結晶系太陽電池は、生産技術が確立してから長期間が経過し、製造ノウハウが凝縮された市販の製造装置を買えば簡単に作れる。性能の差異化余地も限られ、投資スピードで勝る中国企業の勢力拡大につながった。生産規模、コストのいずれにおいても、日本の太陽電池メーカーは劣勢に立たされている。

そんな中にあって、ソーラーフロンティアの栗谷川・技術本部長は、「人件費や為替などいろいろなハンデはあるが、この新工場が動けば、中国企業とのコスト競争にも負けない」と言う。極論すれば、今回の宮崎第3工場は、日本から太陽電池の主役の座を奪った中国勢に対する、挑戦状と言ってもいい。その武器となる世界最大の新工場稼働まであとわずか。昭和シェル、そして事業を担うソーラーフロンティアの未来を懸けた戦いがいよいよ始まる。

◆昭和シェル石油の業績予想、会社概要はこちら

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(渡辺清治 =週刊東洋経済2011年1月29日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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