超高齢社会に突入した日本。今春から70歳までの雇用確保が企業の努力義務とされる中で定年制をめぐる議論も活発だ。『現代語訳 暗黒日記』(清沢洌著)を編集・解説し、先の大戦へ突き進んだ日本人のあいまいな無責任体質に警鐘を鳴らした丹羽宇一郎氏(82)。伊藤忠商事のトップや駐中国大使など、さまざまな立場からビジネスパーソンを見てきた丹羽氏に、定年といかに向き合うべきかを直撃した。
──9月に経済同友会のセミナーで新浪剛史・サントリーホールディングス社長が「45歳定年制」を提唱。世間から「リストラではないか」と反響を呼びました。定年についてどう考えますか。
まず経済団体も政治家もメディアもほとんどが誤解をしている。
それは定年制を考えるとき、中小企業について語っていないことだ。日本には約450万社もの企業があり、うち中小企業は99%を占めて人数では7割。一方、大企業は社数でたった1%、人数では3割しかいない。中小企業もきちんと議論するか、大企業と中小企業を分けて話すか、前提をはっきりさせるべきだろう。
日本のように一律に定年を定めた国は欧米では見られない。米国ではダイバーシティー(多様性)の一環として、年齢によって採用を制限することは法律違反となり、差別に当たる(The Age Discrimination in Employment Act)。80歳でも90歳でも仕事ができれば雇われるし、40代や50代でも仕事ができなければ雇われない。年齢ではなく個別の能力で決められているわけだ。
見るべきは中小企業だ
──ジョブ型雇用や同一労働同一賃金など、企業は新たな働き方や評価の仕方を模索しています。
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