これまで私は約1300社の人事制度を構築している。経団連が高度なデジタル人材の不足などから、ジョブ型雇用を推進すると表明したときは、緊急事態への対策だと思った。しかし、すでに導入した大企業の中には、多くの社員の職務記述書(ジョブ・ディスクリプション、JD)を作った会社があるという。なぜなのか、不思議で仕方がない。
“働かないおじさん”の賃金を下げるため、慌ててJDを作成したのではないかと、少し心配になる。高度な専門のデジタル人材に年収1000万円を支給することができる人事制度へと改善・改革すればいいだけの話だ。
それには、求めるデジタル人材に期待する成果は何か、そのために何をしてもらうのか、どのような知識・技術が必要なのか、どのような考えであってほしいのかをまとめることが必要。実現してもらう成果の大きさがポイントで、ここまで具体化して「1000万円出します」と言うべきだ。
やるべきこと(職務)だけ書いても、社員間の賃金のバランスは取れない。明確化して社内で募集し、いなければ社外から採用する。例えば病院では、医師と看護師、診療放射線技師で、すべて賃金が違うが、もともと職務の難易度が違うことをお互いに理解し、仕事をしている。企業でもなぜ賃金が違うのかを説明できるようにすること。これはデジタル人材に限ったことではない。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら