定年後もさまざま。悠々自適の人もいれば、思いどおりにいかない人も。
「悩ましいのが年配のロー・パフォーマー(能力の低い人)だった」──。
坂本悟さん(65)の会社員生活における最大の心残りといえば、人事部門の責任者として、再雇用者が働く環境を十分には整備し切れなかったことだ。
坂本さんは、IT関連製品の販売会社の人事部で長く働き、60歳で定年退職、その後シニア管理職(契約社員)として、同じ人事部で62歳まで在籍した。取り組んでいたのが再雇用者の待遇を改善すること。が、全員が定年後に高いパフォーマンスを発揮するわけではないし、残ってもらう分、会社にとっては人件費が負担となるわけで、一筋縄ではいかない。
「自分が勤めていた会社では、半年や年間単位で個人ごとに、定性的・定量的な目標を設定していた。目標達成率が極端に低く、かつ、毎年達成できない人が少なからずいた」(坂本さん)。困ったことに、そういう人ほどほかに引き取り手がないのをわかっているのか、会社に残りたがる傾向が強い。
そこで考えたのが、3つのコースに分けた再雇用制度だった。
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