生き残りを懸けたM&A。成否のカギはコミュニケーションだ。
事業の拡大や承継などを目的に行われるM&A(合併・買収)。譲渡企業と譲受企業の交渉では、どういった点に留意すべきか。
企業規模にもよるが、一般的にM&Aは、トップレベル同士の会談、さらに役員・部門長に弁護士を交えた実務レベルの条件交渉という流れで進められる。
トップ会談で確かめないといけないのは「相性」だ。相性の合わないM&Aは、実務レベルの交渉で破談になる可能性が高くなる。細かい話をする必要はない。「将来に向けたビジョン」「M&A以降の成長戦略」など、未来志向ですり合わせをしていく。両社の資本や事業規模にどれだけ差があっても、相手の人格や立場を否定せず、対等な立場から「リスペクト」することを忘れてはならない。
例えば譲渡側に立ってはいても、企業のトップには事業を牽引してきたという自負がある。敬意や称賛、「ともに成長を目指す」という姿勢を示すだけでも印象は変わる。事業の低迷がM&Aの引き金であっても、買う側が「助けてやる」という救済色を強く出しすぎると心証はよくない。トップの包容力あるコミュニケーションが、円滑な交渉の素地をつくる。
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