いつの間にかゲーム屋、それもなんか面白い--南場智子 ディー・エヌ・エー社長[下]

いつの間にかゲーム屋、それもなんか面白い--南場智子 ディー・エヌ・エー社長[下]

[中]より続く

ライバルの「ヤフーオークション」は2カ月半前にオープンしている。しかも、向こうは手数料無料。対してビッダーズは有料だ。こちらは無名だが、ヤフーの知名度は圧倒的。最初から、勝負はついていた。
 
 文字どおり、南場は「七転八倒」した。ヤフオクが有料に切り替えた機をとらえ、逆に、南場は無料キャンペーンを打つ。「打倒ヤフー」を掲げ、MSN、エキサイトなど大手ポータルサイトと“共闘”したかと思えば、当のヤフーにねじ込み、ビッダーズの広告をヤフオクに割り込ませる、という奇手も使った。

それでも、01~02年、ディー・エヌ・エーは頓死寸前となった。創業時に約束した「2年目黒字化」には程遠く、01年3月期は最終赤字10億円 、翌期も赤字8・7億円。広告収入の稼ぎがあるヤフーに対し、ディー・エヌ・エーはオークション手数料だけ。それを無料化し、顧客獲得の大命題の下、広告宣伝に7000万円ポンとつぎ込んだりするのだから、赤字は膨らむ。「おカネもジャブジャブ使う人だったわけ。“マッキンゼーの人”だから」。

01年3月、増資に踏み切る。出資者確保に難航する南場に対し、村口とソネットが追加出資に応じ、マッキンゼー時代の上司だった横山禎徳(現東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム企画・推進責任者)も南場に請われ出資した。

赤字は「いただいた資源の食い潰し」だ。悪であり、恥である。「弱気になってる暇はない」と自分にむち打ったが、「ほんと苦しかった」。

ところが、出ばなの大失態、初戦の大敗北が、その後の成功の苗床になるのだから、世の中、わからない。

02年12月、ネットオークション一本槍に見切りをつけ、ビッダーズにショッピングモールを追加する。オークションとモール、実は事業の性格が正反対だ。オークションは基本的に、不特定多数から出品を募る「待ちの営業」だが、モールは有力テナントに出店をお願いに行く「攻めの営業」であり、“どぶ板営業”が必須となる。南場は地方を回り、ヤリ手商売人相手に鍛えられた。

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